北東アフリカのスーダンでは、政府軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」による国を二分する内戦がもう3年以上続いている。人口の3分の2に当たる約3400万人が人道支援を必要としており、国連は「世界最悪規模の人道危機」と警鐘を鳴らす。

報道写真家のマッズ・ニッセンは今年5月、RSFの占領から昨年政府軍が奪還した首都ハルツームに入った。家を追われた避難民、飢餓に苦しむ人々、兵士にレイプされた女性、戦闘に参加させられた少年……。取材したのは、内戦で深く傷ついた人々だ。

政府軍基地で拘束されている、かつて反政府勢力RSFに協力していたとされる少年兵

【少年兵たちの証⾔】


ハルツーム郊外の政府軍基地では、かつて反政府勢力RSFに協力していたとされ、 拘束当時8~17歳だった少年41人が施設に収容されている。 中には2年以上も拘束され、解放のめどが立たない少年もいる。


 【ムハンマド(11)の証言】  RSFの兵士たちに連れて行かれたのは小学4年生の時。道を聞かれて同行したら、膝や肘を撃たれて拘束された。裕福な家の略奪や前線の見張りをやらされた。政府軍に救出されたが、ここで拘束され続けている。早く家族の元に戻りたい


 【モアイアド(16)の証言】 内戦が始まった時、僕は中学1年生だった。ロバと荷車を使って荷物を運ぶ仕事もしていて、RSFが街を占領すると荷物運びを手伝わされるようになった。もう1年以上この基地に収容されていて、この先どうなるか分からない


 【タリク(15)の証言】 バスの料金を集める仕事をしていた12歳の時、RSFに無理やり基地に連れて行かれて厨房で働いた。1カ月ほどで混乱に乗じて逃げ出し、家族の元に戻ったが、政府軍の兵士に見つかって拘束された。将来は医師になりたい

この紛争は、単なる政府軍と反政府勢力の対立ではない。天然資源の金や豊かな農地をめぐる近隣諸国の代理戦争の様相も呈している。また米トランプ政権による米国際開発庁(USAID)の廃止も支援活動に多大な影響を及ぼしている。ニッセンは、地元活動家による食料配給は見かけたが、国際援助機関の支援は確認できなかったという。

人々は戦争を生き抜いた自らの体験をニッセンに語った。この惨劇は内戦と呼ばれている。だが、スーダンの人々、そして民主主義そのものに対する攻撃でもある。

Photographs by Mads Nissen-Panos

撮影:マッズ・ニッセン 1979年生まれ。デンマークの新聞ポリティケンのスタッフ・フォトグラファー。不平等や人権侵害、自然破壊などの社会問題を追う。2015年と21年に世界報道写真大賞を受賞。写真集に世界的なコカインの生産・密売・消費による人的代償を捉えた『Sangre Blanca』(英ゴスト・ブックス、26年)など

【第1036回】

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