自分をホワイトハウスに復帰させた「今回(2024年)の大統領選がわが国の歴史上、最も偉大で最も重要なものとして記憶されることを望む」。ドナルド・トランプは2度目のアメリカ大統領就任式で、そう誇らしげに語っていた。
そしておよそ1年半かけて、その「予言」を的中させた。ただし、自ら仕掛けた21世紀版「湾岸戦争」で惨めな敗北を喫することによってだ。イランへの先制攻撃をそそのかした者がいるのは事実だが、選んだのは彼自身。それが裏目に出て、結果はアメリカにとってベトナムでの敗戦よりも深刻な戦略的打撃となった。
見た目の問題で言えば、今回の敗北は過去にアメリカが喫した軍事的敗北とは異なる。展開が速くて戦場が遠かったから、ある意味で現実味が乏しかった。1814年の米英戦争時と違ってホワイトハウスが炎上することはなかったし、徴兵制度がないから抗議デモも起きなかった。
筆者はカタールの首都ドーハ在住で、最初の数週間こそ飛来するミサイルの影や音に首をすくめることもあったが、2、3カ月で慣れた。普段どおり買い物に行き、安いガソリンで車を満タンにし、遠くにいる同僚たちとズーム(Zoom)で意見を交わすたびに思った。「ここって、これでも戦場なのか」と。
次のページ