[ロンドン 18日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が18日発表した4─6月の民間セクターの賃金伸び率(ボーナスを除く)は前年同期比2.8%で、2020年8─10月以来の低い伸びにとどまった。求人件数も約5年ぶりの低水準となり、英国の労働市場がさらに冷え込んだことが示された。

民間部門の賃金伸び率は、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)が先月公表した予想とは一致した。同指標は、物価への直接的な影響が大きいとして英中銀が注視している。統計を受けてポンドは小幅に下落した。

失業率は4.9%で横ばい。ロイターの調査では4.8%への低下が予想されていた。

今回の統計を踏まえると、英中銀当局者の大半が当面の金利据え置きを支持しそうだ。ただ英中銀は、イラン戦争に伴うエネルギー価格上昇が賃上げ幅の拡大につながるかどうかを見極めるには、年末までかかる可能性があるとの姿勢を示している。

<求人件数、コロナ禍除き14年終盤以来の低水準>

パンテオン・マクロエコノミクスの英担当チーフエコノミスト、ロブ・ウッド氏は「雇用情勢は予想よりやや弱く、労働市場はなお減速局面にあるが、そのペースは非常に緩やかだ」と指摘した。

求人件数は5─7月に70万7000件となり、4─6月の71万1000件から減少した。21年2─4月以来の低水準で、コロナ禍を除けば14年終盤以来の低水準となる。

賃金・失業率統計の大半は、バーナム氏が先月首相に就任する前の期間を対象にしているが、エコノミストによると、労働市場が勢いを失いつつあることを示しており、今後数カ月に向けて明るくない兆候だという。

ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、アンドルー・ハンター氏は「先行きを見れば、米国とイランの紛争を巡る不透明感が続き、10月の予算案で追加増税が実施される可能性もある。雇用へのリスクは引き続き下振れ方向に傾いている」と述べた。

4─6月の就業者数は8万3000人増と、ロイター調査の予想中央値12万9000人増を大きく下回り、過去5カ月で最も弱い数字となった。

税務当局が別途公表した統計によると、給与所得者数は7月に1万2850人減少し、6カ月連続の減少となった。

<全体の賃金伸び率は若干加速、実態反映していない可能性も>

全体の賃金の伸びはやや強かったが、実態を反映していない可能性が指摘されている。

ボーナスを除く全体の賃金上昇率は3.5%で、3─5月の3.4%からわずかに加速した。ただ、国民保健サービス(NHS)の賃上げ実施時期の影響で公共部門の賃金伸び率が今年最高の6.1%に押し上げられ、これが全体を上振れさせた面がある。

ボーナスを除く賃金は、4─6月はインフレ調整後で前年比0.7%上昇となり、今年最高の伸びを記録した。もっとも、これはエコノミストが一時的と見る物価上昇率の低下を反映したものだ。

英中銀は、イラン戦争によるエネルギー価格の急騰が、より長期的なインフレ圧力に転化しつつあるかを注視している。

金融市場では18日、26年末までに0.25%ポイントの利上げが1回織り込まれた。

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