研究チームは12年間にわたり、フィンランドの2つの病院で若年性認知症と診断された793人を対象として調査を実施。年齢と性別が同じで認知症と診断されていない7926人のグループと比較した。

認知症患者の内訳は、アルツハイマー病が421人、前頭側頭型認知症が179人、レビー小体型認知症やパーキンソン病などの「αシヌクレイン病」が46人。残る147人は、血管性認知障害や混合型認知症の患者だった。

認知症患者と認知症のない患者の所得は国税記録を使って比較した。認知症が所得に及ぼす影響を切り離すため、学歴や認知症以外の健康状態に関して国の登録情報から入手したデータを分析に組み込んだ。

その結果、所得の低下が始まる時期は、認知症の種類に左右されることが分かった。

後にアルツハイマー病と診断された患者は、診断の6年ほど前から生産性低下の症状が表れていたことが判明。前頭側頭型認知症の場合は診断の11年前から生産性が低下し始めていた。一方、αシヌクレイン病の場合、生産性低下の症状が表れたのは診断とほぼ同時期だった。

血管性認知症や混合型認知症などの患者は、調査期間を通じて生産性が著しく低下していた。

「生産性低下に伴う損失は驚くほど大きく、1人あたり平均で年間約1万2000ユーロ(約1万3800米ドル)に上った。こうした損失は、最大で診断の15年前から出始めていた」。論文を発表した東フィンランド大学の研究者エイノ・ソルイェはそう解説する。

「これは、診断の遅れによって症状が認識されない期間が長く続くことが一因かもしれない。若年性認知症が社会や経済に及ぼす有害かつ長期的な影響が浮き彫りになった」

ただし今回の研究は、患者の長期的な追跡調査ではなく、データをさかのぼって分析した結果に基づく。このため若年性認知症が生産性低下の直接的な原因だったとは断定できず、両者の関係を示したにすぎない。研究チームも今回の研究について、因果関係は証明されていないと指摘している。

【参考文献】

Solje, E., et al. (2026). Long-Term Income and Productivity Losses in Individuals With Early-Onset Dementia. Neurology. Long-Term Income and Productivity Losses in Individuals With Early-Onset Dementia
 

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