日中に明るい日光を浴びる時間を増やすことが、認知症リスクを低減する可能性があることが研究で明らかになった。
中国の研究チームが成人約9万人を8年間にわたって追跡した結果、日中に中程度の明るい光を多く浴びていた人は、そうでない人に比べて認知症の発症リスクが大幅に低かった。一方で、夜間に浴びる光の量には、認知症リスクとの明確な関連は見られなかったという。この研究結果は、日々の光の浴び方が、認知症リスクを減らす「シンプルかつ自分で変えられる要素」の1つであることを示している。
神経科学者で、病気の初期に現れる体内変化の指標の研究で知られるダヤン・グッデノウは、今回の研究結果について、脳の健康と長寿というより大きな枠組みに合致すると語る。
「今回の研究は、アルツハイマー病が自分でコントロール可能な複数の要因に影響されること、そして健康な脳機能が相互につながり合う多くのシステムに依存しているという考えを、改めて補強するものだ」とグッデノウは言う。「それには概日リズム(体内時計)の調節、睡眠、代謝、細胞膜の生物学、栄養などが含まれる。これらすべてが連携して、身体と脳を支えている」
「日中にしっかりと光を浴びることは、脳だけでなく、身体全体の健康を維持する上でも不可欠な要素になり得る」とグッデノウは述べる。
今回の研究では、平均年齢62歳の認知症を患っていない成人8万7577人を対象に、手首に装着する活動量計を用いて、通常の生活における7日間の日中と夜間の光への曝露量を測定した。その後、中央値で8.1年間にわたり追跡調査を行ったところ、期間中に741人が認知症を発症した。症例の特定には、かかりつけ医の記録、入院データ、死亡登録データが用いられた。
屋外の曇りの日の明るさにほぼ相当する、平均1000ルクス以上の光を日中に浴びていた人は、認知症のリスクが16%減少していた。さらに、5000ルクス以上のより明るい光を長い時間浴びていた人では、リスクがより一層低下する傾向が見られた。