ですが、一番の問題はこの運賃高騰ではありません。試合のある日には、ノースリバー・トンネルはW杯関連の輸送専用になるのです。どういうことかというと、輸送力がないので、そうせざるを得ないのです。具体的には、郊外鉄道のNY市内乗り入れは全便停止になるのです。そこで、NJTとしてはNY市内への通勤者には「試合当日はテレワークを」という呼びかけをしています。どうしても出勤する場合は、途中で地下鉄のパストレインに乗り換えなくては市内に入れません。つまり、トンネルが1本しかないので、W杯のサポーターと通勤客は同時にはさばけないのです。

もちろん、このハドソン川にもう1本トンネルを掘って、輸送力を増強する計画は以前からありました。ですが、民主党の大統領が連邦政府(国)の予算をつけても、共和党の知事が反対するなど、なかなか上手く進まない時代が続いたのです。共和党は鉄道黄金時代には、巨大鉄道会社を支持基盤にしていた時代もあります。ですが、20世紀後半以降になると、「鉄道は固定インフラ投資」だということ、そして「鉄道は労組の拠点になる」ということから、多くの鉄道投資に反対するようになっています。

第2トンネルの開通は2035年以降

オバマ政権時代には推進の機運のあったアメリカ各地における高速鉄道構想も、共和党の反対で難航しています。そんな中で、近年の状況としては、オバマ政権末期に「ハドソン川第2トンネル構想」は、「ゲートウェイ・プログラム」として、改めて予算化がされ、バイデン政権時代にはトンネル前後の複々線化工事などが順調に進んでいました。

ところが、2期目のトランプ政権になると、全ての予算が凍結されてしまいました。これに対して、ニューヨーク州などが法律化されている予算の停止は違法だとして提訴、今週6月30日に連邦地裁は訴えを全面的に認め、即座に予算執行を再開する命令を出すに至りました。二転三転した第2トンネル構想ですが、今回の判決により順調に工事が再開したとしても開通は2035年以降になるそうです。

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