大都市に棲みついて公衆衛生問題を引き起こし続けているネズミたち。老朽化したビルや地下鉄トンネル、下水道などで繁殖し、感染症を媒介する。そうした都会のネズミたちは、人間が駆除しようとすればするほど進化して、殺鼠剤に対する耐性を高めている。

ラトガース大学の研究によると、調査対象としたハツカネズミのほぼ70%に遺伝子変異が確認され、一般的な殺鼠剤では駆除が難しくなっていることが分かった。論文をまとめた同大の研究者チャンルー・ワンが本誌に語った。

これは「長年にわたって殺鼠剤に繰り返しさらされた結果」だとワンは解説する。一方、ドブネズミについても「ある程度の変異」が認められたものの、殺鼠剤に対してハツカネズミほどの耐性はなく、依然として一般的な殺鼠剤で駆除できるという。

各都市が対策に苦慮する中で、このまま殺鼠剤を使い続ければ、ネズミたちの耐性はさらに高くなるだろうとワンは予想する。


今回の研究は学術誌「Pest Management Science」に掲載された。それによると、アメリカ北東部の都市部に生息するげっ歯類の中には、遺伝子の変異によって、最もよく使われる抗凝血性殺鼠剤に対する耐性を獲得した個体がいることが分かった。

研究チームはニューヨーク、ニュージャージー、ペンシルベニアの各州と首都ワシントンで採集されたハツカネズミ147匹とドブネズミ143匹のDNAを解析し、抗凝血性殺鼠剤への耐性に関係する遺伝子「VKORC1」の変異を調べた。

その結果、ハツカネズミは84%で1つ以上のVKORC1遺伝子変異が確認され、ほぼ70%は一般的な殺鼠剤への耐性に関係する遺伝子変異が認められた。

ドブネズミの場合、約35%にVKORC1遺伝子の変異が起きていたものの、そうした変異が殺鼠剤に対する耐性の高まりに直結するかどうかは分かっていない。

同様の結果は学術誌「Genetics」に掲載された2005年の論文などでも報告されていた。

本誌の2024年の記事によれば、ニューヨーク市内に生息するドブネズミは約300万匹と推定されている。

ネズミが強くなる理由
【関連記事】