資産維持のためにお金を失ってはならない
──マイホームが負債だと認識している人は、あまり多くないと思います。
そこが彼の主張の肝です。資産とは、維持するためにお金を失うものであってはならないのです。また、不動産というのは常に値上がりする、この株は間違いなく値上がりするといった意見は単なる予想に過ぎないのに、ファイナンスの知識がないために事実だと思い込んでしまうことについても鋭く指摘しています。
キヨサキは、これからは資産というものを再定義すべきだと主張します。新時代の「資産と負債」の考え方は、本書の中盤、子ども時代のキヨサキと金持ち父さん、そして金持ち父さんの知り合いの銀行員の3人の会話で明快に説明されています。この部分は本当に目からウロコです。ここだけでも本書を読む価値は十分あると思います。
資産の常識が大きく変わった
──キヨサキ氏は、「金持ち父さん」からこの世には十分なお金があることを学び、ファイナンシャル・インテリジェンスの世界を知り、裕福な人生を選び取りました。お金についての考え方について学ばなければ、人々は置いていかれるのですね?
あくまで僕の意見ですが、自分の人生を安定させるためのお金、資産についての常識が、ここに来て大きく変わってきたと思います。それはコンビニで買い物をするだけでも分かります。1000円で買えるものは去年より少なくなっている。その価値は来年にはもっと下落しているかもしれない。子どもでさえ現金の価値が一定でないことに気付き始めています。
今こそ、資産についての考え方を見直す必要があります。キヨサキは言います。「すべての家庭で、親と子が一緒にお金について学び、親子ともにお金についての知識を身につけてほしい」。本書は、そのための絶好の教科書だと思います。
インタビューを終えて
振り返ってみれば、筆者は日本の小中高校で貯蓄、損益、投資といったお金についての授業を受けたことはない。家においては、親から、お年玉などで貯めたお金は無駄使いしないようにという程度の「教え」を受けただけだ。
実は今回の最新刊で、金持ち父さんシリーズを初めて手に取った。シリーズのことは昔からもちろん知っていたが、お金の哲学を積極的に学ぶ必要はないのではと敬遠していたのだ。最新刊でキヨサキ氏の主張にふれ、もっと早く読んでおきたかったと思った。お金に関する書籍は多数あるが、皆さんも、まずは本書を最初の教科書だと思って読み、刺激を受けてみてはいかがだろうか。
[執筆者] 岩澤里美スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。欧米企業の脱炭素の取り組みについては、専門誌『環境ビジネス』『オルタナ(サステナビリティとSDGsがテーマのビジネス情報誌)』、環境事業を支援する『サーキュラーエコノミードット東京』のサイトにも寄稿。www.satomi-iwasawa.com
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