アメリカの投資家、実業家のロバート・キヨサキ氏(現在79歳)が執筆したお金の哲学書「金持ち父さん」シリーズは、世界で6600万部以上の売り上げを誇る。四半世紀前に日本でも第1作目『金持ち父さん 貧乏父さん』が発売(改訂版は2013年刊)されて以来、ロングセラーとなっている。
今年3月には、シリーズの最新刊『金持ち父さんのお金の教科書: 親から子に伝える一生お金に困らない考え方』が発売になった。近年の世界経済の成長は不確実で、日本でも最近の物価上昇に不安や危機感さえ覚える人たちは増えているだろう。
子どもでも学べるようにという視点でわかりやすく書かれた本書は、「どうしたら、もっとお金を増やせるのだろうか」と頭を抱える人に、お金についての新しい知識をかなり具体的に教えてくれる。そして、その知識を自分の子どもにきっと伝えたくなるはずだ。本稿で、最新刊の翻訳者の岩下慶一氏に内容の一部を紹介してもらおう(岩下氏にとって、シリーズの翻訳は本書で4作目)。
「貧乏父さん」のモデルは作者の実父
──最新刊にも2人の父親が登場します。1人はキヨサキ氏の実父で「貧乏父さん」です。なぜ貧乏なのですか?
キヨサキの父親(1991年没)は博士号を所持し、学歴で言えば最高峰を極めた人でした。彼は、安定した仕事に就いて懸命に働き、出世することが人生の勝利者となる唯一の方法だと考えており、稼いだお金の使い方は決して学ぼうとしませんでした。キヨサキを筆頭に4人の子どもがいて、妻も必死に働いていたのに貧しさから抜け出すことができませんでした。
父親は、自分の方が富裕層よりも高学歴なのに、裕福になれないのはおかしいと考えていました。でも実情は、収入の範囲内でどうにか生活し、借金で何とか乗り切っていたに過ぎませんでした。彼は、「持ち家は資産であり、最大の投資だ」というアメリカの旧世代の価値観(中流層の価値観)に縛られていたのです。これは現在もアメリカや日本にはびこっている考え方です。