<AI革命、グローバル標準への対応が求められる時代に「世界で通用する18歳」を育てるには、親や教師は何をするべきか? 渡米33年、ニュージャージー州プリンストン在住の作家・ジャーナリストで教育者でもある冷泉彰彦氏が、教育と子育ての「世界標準」を解説する新刊『世界の一流は「子ども」に何を教えているのか』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋する>

*シリーズ第2回(全2回)

ダディズ・ガール(お父さんっ娘)の秘密

アメリカでは、「ダディズ・ガール」という言葉をよく耳にします。父親が娘をかわいがり、娘も父親が大好きという関係性のことです。やがて、娘は父親似の男性をパートナーに選び、婿となった男性は義父とは友人のような関係となる、娘の母親はそのような娘を中心とした人生を微笑ましく見守って支える……そんな家族像がひとつのパターンとして確立しています。

考えてみれば、1990年代以降の歴代の大統領一家は、みんなそんな感じです。クリントン氏には一人娘のチェルシーさんがおり、ジョージ・W・ブッシュ氏には双子の娘、そしてオバマ氏にも2人の娘、そしてトランプ氏の場合は息子3人に娘2人ですが、長女のイヴァンカ氏をかつては溺愛していたのは有名な話です。

『世界の一流は「子ども」に何を教えているのか』

もちろん、政治家の場合は「よきファミリー」というイメージを売らなくてはならないので、「中の人」の本音はわかりません。けれども、彼らが父娘の関係を大事にして、娘たちを「ダディズ・ガール」にしているというイメージは、やはりとても重要です。それはアメリカの価値観からは非常にプラスとされるからです。ハリウッド映画でも、父と娘のストーリーは数多くあります。

一方で、近年の日本の場合は、都市部を中心に男親と娘の間に距離があるケースが多くなっているようです。思春期時代の反抗は娘の場合は特に父親に向かうことが多いですし、コミュニケーションも少ないようです。

極端な場合は、父親の下着を一緒に洗濯してほしくないなどと、生理的な嫌悪を向けるような場合もあるようです。

アメリカの父親たちはどうやって娘の心をつなぎ止めているのか

そう考えると、アメリカの「ダディズ・ガール」というカルチャーについては、うらやましく思う日本のお父さんはいるのではないでしょうか。もちろん、国によってカルチャーが異なるのは自然なことですが、それにしても、現代日本の平均的な父と娘の関係は、やや遠すぎるようにも思えます。

では、アメリカの父親たちは、どうやって娘の心をつなぎ止めているのかというと、多くの事例を見てきた中で言えるのは、「2つの心がけ」に尽きると思います。

1番目は静かに見守るということです。まず見守るというのは、文字通り一緒の時間を過ごして娘に関心を向け続けることです。また静かにというのは、思春期の揺れ動く少女心理を決して否定しないということのようです。

以前に大変にお世話になったイタリア系の辣腕会計士には、3人のお嬢さんがいたのですが、こんなことをいつも言っていたのを覚えています。

「思春期の女の子を持つのって、大変だよ。成長は早いし、大人に説明できないことは方便でウソつくしね。でも、俺は叱らないんだ。よく見てはおくけど、騙されたふりをして、娘を信じる父親を演じるんだよ。そうすると、成長するに従ってどんどん素直になっていくんだ」

父親の「好きなこと」を娘に教え込む
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