ヨーロッパでは「民営化の流れを止める」動き

まず、ここ数十年、世界各地で相次いだ民営化だ。国や自治体が本来持っていた公共的な役割をどんどん縮小し、住民生活に不可欠なインフラ事業までを民間企業に委託してしまう流れが続いてきた。

その結果、本来は住民のものであるはずの公共財産が、営利の論理で支配され、人々の生活に影響を与えるという問題につながっている。

そしてもうひとつ注目すべきは、岸本氏のバックグラウンドと、そこから培われた「ミュニシパリズム」の概念である。

  私が長く暮らしていたヨーロッパでは近年、こうした民営化の流れを止め、住民が地域の公共財産を自分たちで民主的に管理する仕組みを作り直そうとする動きが各地で生まれています。

 そして、こうした住民運動を母体として自治体ごとの市民政党がつくられ、首長や地方議会の選挙で勝利し、国の政府やEUといった大きな権力にも敢然と物申していく――このような現象は、「再公営化」「ミュニシパリズム(地域主権主義、自治体主義)」、そして「恐れぬ自治体(フィアレスシティ)」という言葉でとらえられています。(「はじめに」より)

日本では、このミュニシパリズムを実践しようという自治体は生まれていないし、もしかしたら住民の中から「ここは日本だから」というような反論が出てくるかもしれない。しかし、これは「日本だから無関係」な話ではなく、いつかは誰かが先導して行うべきことではないだろうか。

つまり岸本氏の根底には、ミュニシパリズムを指針として、新たな杉並区をつくろうという思いがあるのだ。それを意識すると、この4年間に行われてきたことの意味と意義が理解できる。

中傷合戦をしている場合ではない
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