「公共」の役割と力を取り戻す
しかしSNSなどを見ると、表面的で“偏ったネガティブなイメージ”だけを拠り所に岸本区政に対して感情論を振りかざしている人も少なくない。
岸本氏の3年前の著作を取り上げようと思ったのは、そんな理由からだ。
もちろん、区長としての実績を評価することも大切だが(岸本氏は批判を受け、杉並区のホームページで具体的な実績を明らかにしている)、なぜ「対話を重視」しているのか、氏の基本的なスタンスを知る必要もあるだろう。それで共感できたならば応援すればいいし、納得できないなら他候補を選べばいいのだから。
区長としてはまだよちよち歩きの段階ですが、あえていま本書を世に問うのは、私がこれから杉並区で取り組もうとしている変革が、世界規模の大きな潮流のなかにあるものだということを、区民に限らず全国のみなさんに知っていただきたいからです。(「はじめに」より)
「何を大げさな」と思われるかもしれないが、本書に目を通せば決してそうではないことが分かるはずだ。私も、そこに共感した。
岸本氏が言う“潮流”とは、「公共」の役割と力を取り戻すこと。そして地域の住民が主体となって、自分たちの税金の使い道や公共の財産の役立て方を“民主的な方法で”決めていこうということである。
実は私も杉並区民なのだが、この地域では以前から、児童館の統配合、高円寺駅周辺に代表されるエリアの道路拡張事業推進など、前区長による区政運営に批判的な声が上がっていた。冒頭の引用部分にある市民団体(「住民思いの杉並区長をつくる会」)に言わせれば「住民の声を無視した区政運営」だ。
そうした不満が4年前の岸本氏擁立につながっていったわけだが、“なぜ、彼女だったのか”という疑問を解消するカギは、2つの点にある。