「自分の子どもを日本の公立小学校に入れますか?」
映画が公開されて反響を呼ぶなかで、著者は「あなたは自分の子どもを日本の公立小学校に入れるのですか?」と何度も聞かれたそうだ。プロジェクトがスタートしたのは息子が生まれる前だったが、当時から一貫して「いつか子どもが生まれたら日本の小学校に通わせたい」と言い続けてきた。
その思いは、実際に親となり、さまざまな小学校教育の現場を取材してからも変わらず、むしろ強くなっているという。先述した特殊な経歴を持つ著者には他の選択肢も多いはずだが、それでも息子を地元にある日本の公立小学校に通わせるつもりだと断言する。
6歳から12歳という年齢の子どもに与える環境として総合的に見た時、日本の小学校教育はどのシステムよりも優れていると感じているからです。
もちろん、それぞれの場面を切り分けて見れば、日本の教育制度や環境には課題も多いと思います。それでも、その課題や欠点を上回る魅力が日本の小学校にはあるのです。(202ページより)
上記の「6歳から12歳という年齢の子どもに与える環境」という部分を目にしたとき、映画の中のあるシーンを思い出した。入学したばかりの1年生たちを遠くから見ていた、ふたりの6年生男女の会話だ。
「元気のいいやつらがいるなあ」
「うちらって、あんなにちっちゃかったっけ?」
12歳になってこういう会話を交わすようになったことも、環境が培ったものの影響なのだろう。
[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。他に、ライフハッカー[日本版]、東洋経済オンライン、サライ.jpなどで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『この世界の中心は、中央線なのかもしれない。』( 辰巳出版)など著作多数。2020年6月、日本一ネットにより「書評執筆本数日本一」に認定された。
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