AIに聞いても分からず、答えを募集したところ…

材料に書かれているスエット(ケンネ脂)は、日本では馴染みがない。本場のイギリスではプラム・プディングでもミンスパイでもこれを使う人が多いそうで、日本の「クックパッド」に投稿された英国大使館のレシピにも「牛脂(スエット)」を使うとあり、次のように書かれているという。

伝統的には秋に準備を始め、クリスマス当日に温めていただきます。牛脂が手に入らないときはバターでも。(143ページより)

牛脂は、牛の腰や腎臓あたりの脂肪のこと。すき焼き肉を買うと付いてくる白い脂身で、英語ではスエット(suet)と呼ぶのだ。

でも、なぜそれを「ケンネ・ケンネン脂」と呼ぶのだろう。著者もいくつか辞書を調べ、ネットで検索し、ChatGPTにも聞いたが、語源は分からなかったという。

仕方なく自身のサイトで答えを募集したところ、3人の翻訳者からメールが届いた。全員が「kidney(腎臓)」が日本語風になまったのではないかと推測したそうだ。

メリケン(American)粉、ラムネ(lemonade)、ワイシャツ(white shirt)、あるいは内臓で言えば、ハツ(heart)、レバ(liver)、タン(tongue)、シビレ(sweetbread)などと似たようなものかもしれない。

 ところがその翌日、翻訳家の中村久里子さんが「国立国会図書館デジタルコレクション」からこんなものをさがしてきてくれた。

 原島善之助著『最新獣医宝典 3版』有誠堂書店 昭和三年。

 最新とはいえ一九二八年出版。獣医のための百科事典みたいなもので、小さな文字で八百五十ページ以上ある。その最後に「馬ノ病名其他ノ俗称」という項があって、そのなかに「腎臓 ケンネン」と書かれている。やはり元になったのはkidneyらしい。(144〜145ページより)

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