発注者と受注者の「行動原理」は180度違う
本書が一貫して説くロジックの核心は、「発注者(会社員)と受注者(フリーランス)の行動原理はまったく違う。発注者の頭の中を想像できなければ、スキルが無駄になる」という点だ。
「食えない」と嘆く多くのフリーランスは、往々にして「自分のやりたいクリエイティブ」や「納品物としての完成度(ライターの場合は原稿のうまさ)」ばかりを追い求めがちだ。しかし、発注者である会社員(編集者)は、常に「組織の論理」のなかで動き、「会社の利益を上げる」立場にある。彼らが最も恐れているのは、クオリティの多少のブレよりも、「納期が遅れるリスク」や「社内調整の手間」、さらに言えば「上司への説明責任が果たせなくなること」なのだ。
ここに、「食えない受注者」と「良い人がいない発注者」というすれ違いの根本原因がある。フリーランス側は「良い原稿を書いた」と満足していても、発注者側は「レスポンスが遅くて不安だった」「修正を依頼するたびに気を遣う」と感じているかもしれない。評価の軸が、そもそもまったく異なるのだ。
本書はこの構造的なズレを丁寧に解説したうえで、フリーランスが今すぐ実践できる打開策を示す。クオリティや面白さは相手の主観や好みに左右される曖昧なものだ。しかし、納期を守る、連絡を早く返す、挨拶をするといった「社会人としての基本を徹底すること」は、自分の努力次第で確実に100点を獲得できる。
そして、こうしたビジネスの当たり前ができないフリーランスは驚くほど多い。だからこそ、当たり前を徹底するだけで大きなアドバンテージになるのだと、本書は指摘する。