日本のファンは優しい

僕はファン文化の愛好家だ。いいチャントはいいゴールと同じくらい楽しめる。日本のファンがただのロングキックにいちいちどよめいたのは昔の話だが、イングランドのようなウイットに富むチャントを繰り出すレベルには至っていない。

とはいえ日本のファンは試合終了後にスタジアムのごみを拾う姿が話題になり、世界一マナーがいいとたたえられている。行動で人の心を捉えるとはこういうことだ。

ガンバ大阪の初期の試合にも、忘れ難い思い出がある。当時の職場に生粋の大阪人がいた。声の太い大男で、電話では「まいどまいど……おおきに……」と大阪弁が丸出しになる。観戦スタイルも独特だった。立ったままフェンスをつかんで身を乗り出し、「アカン! アカンわ!」とダメ出しをするのだ。試合にのめり込む彼の姿が、僕は好きだった。日本のファン文化がどんどん逆方向に行くのを見るにつけ、大阪の同僚が懐かしく思い出される。

日本のファンは優しい。いつもチームに歓声を送り、負ければ慰める。日韓大会で敗退したときは「夢と感動をありがとう」という横断幕がスタジアムに掲げられた。「ホームでトルコに負けるなんて、ふざけてるのか?」と憤る声が少しはあってもよかったはずだが。

64年の東京五輪で日本代表を指導したドイツ人コーチ、デットマール・クラマーが語ったこと
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