米マウントサイナイ医科大学の山田悠史医師

──睡眠の質を上げるためにアドバイスをお願いできますか。就寝前にスマホのブルーライトに気をつけようとはよくいわれますが……。

睡眠で問題を抱えていても、多くの人はその原因を調べずに、解決策に飛びつきすぎるように思います。眠れない原因は人それぞれなのに、一律に枕やパジャマを買い替えることも。たとえばカフェインが睡眠を妨げているのなら、カフェインを減らさないと眠れません。まずは「なぜ自分は眠れないのか」と一日の過ごし方を見直すことです。

不眠で病院に行くと、あまり診察に時間をかけずに睡眠薬が処方されることもあり、それが危険なこともあります。たとえば、カフェインの摂りすぎで眠れない人が睡眠薬だけ処方されていると、カフェインの利尿作用で夜中に何度もトイレに行く。そのとき睡眠薬の影響でフラついて転倒し、骨折してしまう高齢者もいます。このように、真の原因にアプローチしない治療は、問題を悪化させることすらあるので注意が必要です。

また、睡眠不足は乳がんや前立腺がんだけでなく、認知症のリスクを高める可能性も多くの研究で示されています。結論はとても地味ですが、「ちゃんと時間を取って寝る」に尽きます。科学的根拠に基づいた健康のための答えは、往々にしてつまらないもの。ですが、バランスよく食べて、体を動かして、ちゃんと寝ることが肝心なんです。

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