一方で、人間ドックは提供者によって項目がさまざまで、根拠のある検査と、そうでない検査が混ざっている「玉石混交」の世界です。そんな中で大事なのは、結果が出た後の行動です。人間ドックや健康診断は、ざっくりとしたスクリーニングにすぎません。「医療機関を受診してください」という結果が出たら、その先の精密検査を受けてはじめて病気かどうかがわかる。健康診断は、「受けたから安心」ではなく、その次のステップとセットで初めて意味を持つんです。

LDLコレステロールはその代表例です。数値が高くても、本人には何の症状もありません。ですが、私たち医師は、LDLが高いと5年、10年後に心臓の病気が増えることを知っています。そして数値を下げる治療をすれば、そのリスクを減らせます。つまり、LDLコレステロールの治療は「未来への投資」。後戻りできない病気になる前に手を打てるチャンスでもあります。

──人間ドックでは、バリウム検査など受ける目的が疑問な検査もあります。

日本の健診制度は、まだアップデートが追いついていない部分があります。たとえば、一律の心電図など、受ける根拠が乏しい項目が含まれているのが現状です。アメリカやイギリスだと、30代の人に、「性交渉に関連する感染症」以外で一律の血液検査をすることはほとんどありません。

ただ、2023年から厚生労働省が科学的根拠に基づいて健診項目を見直し始めているので、今後は改善されていくはずです。

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