本誌米国版作成 2026年の米キューバ関係タイムライン
脅しには現実味があるかも?
米軍によるキューバ上空での偵察飛行は増えているが、今のところアメリカのキューバへの対応は経済的・法的・政治的な圧力が中心で、本格的な軍事力の投入には至っていない。ゲダンによれば、今回の起訴はキューバに融和的な交渉姿勢への転換を促す圧力の意味合いが大きいと言う。
「ラウルの引退生活は、かなり居心地の悪いものになった」と、ゲダンは語る。「とはいえ侵攻が差し迫っているわけではない。トランプは中東への対応で手いっぱいだし、支持者らも新たな軍事介入を熱望しているわけではない」
その一方で、侵攻の脅しには現実味があるとも指摘する。「その結果、アメリカからの投資受け入れを拡大する経済改革を求める交渉において、アメリカ側の交渉力が高まる可能性がある」
もっとも、それが最終的な目的ならカストロ個人を追及しても大した前進にはつながらないと、カリフォルニア大学サンディエゴ校の国際政治経済学名誉教授で、かつてホワイトハウスや国務省の要職を歴任したリチャード・ファインバーグは指摘する。
「ベネズエラ方式をキューバに適用しても機能しない」と、彼は本誌に語った。「カストロの拉致は極めて困難だが、仮に米軍がそれを実現できたとしても、深刻化する危機の解決にはさほど寄与しない。キューバはカストロ一族に支配されているという神話があるが、実際に国を支配しているのはキューバ共産党という制度と、それに連なる軍・治安機構だ」
ファインバーグの見立てでは、トランプ政権の真の狙いは別のところにある。アメリカに亡命したキューバ人コミュニティーは、60年以上にわたってカストロ一族への報復を求めてきた。「今回の起訴は、彼らへのメッセージという側面が強い」