Lucia Mutikani
[ワシントン 14日 ロイター] - 米労働省労働統計局が14日発表した6月の米消費者物価指数(CPI)は、前年比3.5%上昇し5月の4.2%上昇から伸びが鈍化した。エネルギー価格の下落を反映し、伸びは市場予想(3.8%上昇)も下回った。ただ、中東紛争の再燃を背景に原油価格は急伸しており、市場では連邦準備理事会(FRB)による年内の利上げの可能性を排除するには不十分との受け止めが広がった。
前月比では0.4%下落と、2020年4月以来初のマイナスとなった。5月は0.5%上昇だった。ロイターがまとめたエコノミスト予想は前月比0.1%下落だった。
<エネルギー価格が大幅下落>
前月比の下落は、エネルギー価格が5.7%下落し、月間で20年4月以来の大幅な下落率となったことが背景にある。5月は3.9%上昇していた。6月のガソリン価格は9.7%下落したが、前年比では26.7%上昇した。
エコノミストらは、基調的なインフレ鈍化を示した今回のCPI統計により、月内に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)を前にFRB当局者に一定の余裕が生まれたと指摘。ただ、米国とイランの敵対行為の再燃により、6月のデータは既に古い情報になったとの見方も示した。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは、前年比2.6%上昇で5月の2.9%上昇から鈍化。前月比は横ばい、5月は0.2%上昇だった。コアCPIは自動車保険が2.0%低下したことで抑制された。
その他の項目では、食品価格は0.2%上昇と、5月と同じ伸びとなった。前年比では3.0%上昇。食料品店の価格は0.2%上昇。卵が4.3%、乳製品が1.2%上昇した。一方、ノンアルコール飲料は1.5%、コーヒーは2.0%、それぞれ下落。果物・野菜は0.2%下落したが、前年比では5.3%上昇した。
通信費は前月比1.5%下落。中古車・トラックも0.2%下落した。たばこ関連製品は0.7%下落と、14年7月以来の大幅な下げとなった。住居費は0.1%上昇と、21年1月以来の小幅な伸びとなった。
コア財価格は2カ月連続で0.1%下落。衣料品コストが0.6%下落したことが背景で、関税の価格転嫁が一巡した可能性を示唆した。
持ち家の帰属家賃は0.2%上昇。娯楽・レジャー関連は0.5%、家庭用家具・家事関連サービスは0.2%、パーソナルケア製品は0.2%、航空運賃も0.2%、それぞれ上昇した。一方、ホテル・モーテルの客室料金は2.3%下落した。サービス全体では横ばいで推移した。
<イラン紛争再燃で上振れリスク継続>
BMOキャピタル・マーケッツのチーフ米国エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「イランとの停戦と覚書の締結を受けてエネルギー価格は急落した」とした上で、「しかし、戦闘の再開を受けてエネルギー価格は7月に再び上昇に転じている。リスクバランスは依然として、年内のどこかの時点での利上げに大きく傾いている」と述べた。
米自動車協会(AAA)のデータによると、米・イラン間の攻撃の応酬を背景に、14日の全米平均ガソリン価格は1ガロン=3.86ドルと、1週間前の同3.79ドルから上昇した。原油価格は約4週間ぶりの高値を付けた。
フィフス・サード・コマーシャル・バンクのチーフエコノミスト、ビル・アダムズ氏は「7月のインフレ見通しはより厳しい」との見方を示した。
LPLフィナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「今後数回の会合でFRBが利上げに動く可能性は低下したように見える」と指摘。「ただ、エネルギー価格ショックが消費者物価の他のカテゴリーに波及するリスクを踏まえると、依然として転換点にある可能性がある」とし、「夏の終わりまでにイランとの間で前向きな解決が実現することが、ますます重要となっている」と述べた。
金融市場は、FRBが今月の会合で政策金利を据え置くと予想。ただ9月会合では約60%の確率で利上げが実施されるとの見方を織り込んでいる。