26歳の医師が過労自殺した件で、私たちが知らなくてはならないこと
国民は医療現場や教育現場にどんな問題があるかをほとんど知らないし、気付く方法もない。患者のことを優先し、自分のつらい経験を語らない医師や先生が多いのだろうと思う。母国であるフランスでは学校の先生も、医師も、看護師も、自分たちの労働状況の問題を国民に知らせるために、労働組合が記者会見を開いたり、プレスリリースを出したり、抗議運動をしたり、デモやストライキをしたりする。
だが日本では、高島さんのお兄さんによると「『忖度』や『人への思いやり』が誤った方向に向かい、若い医師はストライキをしたり、不満を声にしたりすることもできない状況」だという。
私は記者として、みんなが簡単に見ることのできない場所のドアを強制的に開けて、もっと見に行くことの必要性を改めて感じた。ジャニー喜多川氏の性暴力の件では、英BBCによる報道のおかげで被害者が次々と告発をするようになった。その結果として最近は、「日本のマスコミが無視していることは、海外のマスコミに取り上げてほしい」とよく言われている。
これは異常事態だが、マスコミだけの問題でもない。被害者や圧力を受けている人がそれを意識し、声を上げられるように社会全体が変わっていかないと、海外のマスコミも手助けすることはできない。
西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。Twitter:@karyn_nishi
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