「私たちがやらなかったら、誰がやるんだ?」――医師不足が生む「空白」を埋める「空飛ぶ外来」とは

The Flying Doctor

2026年2月4日(水)20時55分
アレクシス・ケイサー (医療担当)

newsweekjp20260204112855.jpg

超音波検査を受けるウェルシュと技師のブランディ・リンチ JAY PICKTHORN SANFORD HEALTH

予測不能な時を生きる

自宅近くでケアを受けられるのは、患者には大きなメリットだ。大変な時間と費用とストレスがかかる状況で、それらを全て軽減できる。

大学院で図書館情報サービスを専攻するマロリー・ウェルシュは、昨秋にフロリダ州タンパ近郊からサウスダコタ州に引っ越した。夫はラピッドシティ医療センターから約20キロの空軍基地に勤務する。

彼女は一卵性双生児の女の子を妊娠中で、経過観察のため週に1回、マクナマラがラピッドシティに出向く際に受診している。アウトリーチ診療がなければ、スーフォールズの彼の診察室まで往復8時間半かけて通うしかない。

「とても柔軟にやってくれる」と、ウェルシュは言う。「説明も丁寧で、何か問題があれば私だけでなく、かかりつけの産婦人科医にも連絡がある」

出産は予測不能だ。マクナマラは患者のため事前に計画を立てるが、不測の事態も覚悟するようになった。双生児を妊娠中の患者が妊娠30週で破水し、彼女がかかっていた僻地の診療所から助言を求められたときも臨機応変に対応するしかないと思った。

「助産師がラピッドシティ医療センターまで救急車に同乗し、病院に着いて帝王切開ができるまで胎児が圧迫されないよう、へその緒で支えていた」。マクナマラはそう言って笑顔を見せた。「2人の赤ちゃんは無事に生まれたよ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、米との安全保障協議の用意 最後の米ロ核軍縮

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック続落、AI懸念でハ

ビジネス

米クアルコム、1─3月期見通しが予想下回る メモリ

ワールド

米、重要鉱物で「貿易圏」構築提案 日米欧は戦略的連
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流していた? 首相の辞任にも関与していた可能性も
  • 4
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 9
    電気代が下がらない本当の理由――「窓と給湯器」で家…
  • 10
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中