最新記事
中国

一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化はなぜ不可逆なのか

CHINA’S FERTILITY CRISIS

2026年1月27日(火)04時00分
易富賢 ((イー・フーシェン、米ウィスコンシン大学の人口統計学者))
高齢化がますます進む一方、少子化は簡単には止まらない SHELDON COOPERーSOPA IMAGESーREUTERS

高齢化がますます進む一方、少子化は簡単には止まらない SHELDON COOPERーSOPA IMAGESーREUTERS

<中国の出生数は2025年に792万人まで落ち込み、総人口が1億5000万人規模だった18世紀とほぼ同水準に戻った。一人っ子政策の廃止や出産奨励策にもかかわらず、出生率低下は止まらない。婚姻数の減少、妊娠可能年齢の女性人口の縮小、住宅価格の高騰と人口密度の上昇──複数の構造的要因が絡み合い、少子化はもはや政策で反転させられる段階を過ぎつつある>


▼目次
北欧でも日本でも失敗した処方箋
転げ落ちる「人口の巨石」

中国政府の発表によると、2025年における出生数は792万人で、前年の954万人から大幅に減少し、一人っ子政策を廃止した16年時点で見込んでいた1433万人に遠く及ばなかった。ちなみに現状の出生数は、総人口が1億5000万人程度だった1738年と大差ない。

事態の深刻さに気付いた中国政府は出産奨励・子育て支援の新たな施策を打ち出しているが、坂を転げ落ちる巨石と同じで、出生率の低下は簡単には止まらない。

そもそも婚姻数が減っている。中国で出生数の85%を担っているのは20~34歳の女性だが、彼女たちの人口は25年時点の1億500万人から50年には5800万人にまで減る見通しだ。そもそも一人っ子政策の時代には女児が中絶される例が多かったため、今でも妊娠可能年齢の女性は不足している。

しかも大学に進む女性が増え、学生の男女比が逆転している。2010年時点の6歳児の男女比は119対100だったが、それから12年たった2022年の大学新入生の男女比は59対100だった。学業優先の女性たちは結婚を遅らせ、かつ夫には自分と同等以上の学歴を求める傾向があるから、そうでない男たちはなかなか花嫁を見つけられない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア、AIインフラのコアウィーブに20億ド

ワールド

イタリア、イラン革命防衛隊のテロ組織認定をEUに提

ワールド

米当局、ミラノ五輪でのドローンによる妨害行為対策準

ワールド

トランプ氏、貿易協定巡り韓国国会非難 自動車関税な
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 7
    中国、軍高官2人を重大な規律違反などで調査...人民…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中