最新記事
軍事

中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?

2025年12月31日(水)14時44分
佐々木和義

急増する中国の挑発

野党「国民の力」のカン・ソンヨン議員室が公開した資料によれば、中国軍の活動は近年急激に活発化している。


空域: 中国軍機のKADIZ侵入は2019〜22年は年50〜70回だったが、2023年には130回と倍増した。2025年も8月時点で既に60回に達している。
 
海域: 中国軍艦艇の韓国海域進入も増加しており、2020年(220回)、2021年(260回)を経て、2023年以降は毎年300回を超えている。

2024年7月30日には、最高高度1万8000メートル、最大10時間の飛行が可能な中国の最新鋭無人偵察機「WZ-7」3機が、離於島北東の海域を飛行した。この機体は、日米韓共同訓練「フリーダムエッジ」が実施された同年6月26日にも確認されており、日韓双方が戦闘機を緊急発進させて対応している。

韓国軍の「沈黙」と問われる抑止力

中ロによる合同演習の飛行ルート

中ロによる合同演習の飛行ルート(韓国軍、日本の防衛省などの資料を基に編集部で作成)

直近の12月9日にも、ロシア機7機と中国機2機がKADIZに侵入した。ロシア機が日本海を南下して鬱陵島と竹島の間を通り、対馬付近で中国機と合流したとされるが、日本側の発表では合流地点を「沖縄本島西方」としており、日韓の認識に差が見られる。

韓国軍はロシア機の侵入は発表するものの、中国機の侵入についてはほとんど公表しない。2017年1月、THAAD配備を巡り緊張が高まった際も、中国軍機の侵入に対して戦闘機10機を出撃させながら発表を控え、日本の発表を受けて後から事実を認めるという経緯があった。

軍関係者は「出撃を公開すれば監視能力や戦術を露呈しかねない」と説明するが、即座に公表して抑止力とする日本とは対照的である。こうした不透明な対応に対し、韓国内では「北朝鮮や中国よりも、国防部こそが安全保障の脅威だ」と国民の不信感が高まっている。

深刻な運用ミス

他国の侵入が続く中、韓国軍自体の失態も起きている。2025年7月、米軍主催の訓練「モビリティ・ガーディアン25」に参加するためグアムへ向かった韓国空軍のC130輸送機が、日本の領空通過許可を得ないまま防空識別圏に侵入した。迂回により燃料不足に陥った同機は、日本側の指示で遭難信号(メーデー)を発信し、米軍嘉手納基地へ緊急着陸。韓国国防部はこの失態に関与した空軍幹部ら7人の処分を勧告したという。

【関連記事】
トランプの「承認」が投げかけた問い──韓国原潜と核不拡散体制の行方
【動画】韓国美人インフルエンサー、ビキニ姿でソウルを疾走 サムスンやグーグル・コリアの本社がある江南に現れ......
日本、韓国、中国...... アジアのアニメがハリウッドを圧倒し始めた

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英仏、 米国のホルムズ封鎖に不参加 多国間枠組み策

ワールド

米のホルムズ海峡封鎖が開始期限、イラン報復示唆 原

ワールド

原油現物が最高値更新、150ドルに迫る 米のホルム

ワールド

米イラン停戦「非常に脆弱」、中国外相 対立激化への
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事の新シナリオ
特集:台湾有事の新シナリオ
2026年4月21日号(4/14発売)

地域紛争の「大前提」を変えた米・イラン戦争が台湾侵攻の展開に及ぼす影響をシミュレーション

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ「EV撤退」が示す、日本が失った力の正体
  • 2
    「いい加減にして...」ケンダル・ジェンナーの「目のやり場に困る」姿にネット騒然
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    トランプがまた暴走?「イラン海上封鎖」の勝算
  • 7
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 8
    「違法レベル...」ゼンデイヤの「完全に透けて見える…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    トランプ政権に逆風...「イラン戦争でインフレ再燃」…
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 8
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中