最新記事
中国

米中急接近で高市政権に外交難局...日中悪化で高まる経済リスク

2025年11月26日(水)19時50分

「高市氏の手腕問われる」

日米中の一連の動きを専門家はどう見ているのか。

上智大学教授の前嶋和弘氏(米国政治)は「トランプ氏にとって重要なのは米中関係であり、日本は米中関係をマネージするためのカードとしてきた」と指摘。「トランプ氏は日本が中国との関係をうまくマネージするだろうとみていたはずだ」とし、高市氏の存立危機事態発言がトランプ氏にとっても想定外だった可能性があると述べた。

さらに、「日中対立が続けばトランプ氏が得をすると見ることもできる。トランプ氏は日本に対しては『俺が中国と話をする』と言い、習氏に対しては『日本に暴走しないよう言っておいたぜ』と言うことができる。双方に恩を売るということだ」とも説明。それが日中関係悪化を長期化させる要因になり得るとの見方を示した。

加えて、高市氏の舵取りの難しさも指摘。「中国による『対日制裁』はまだまだ続くだろう。日本があまり強い態度に出ると、中国もまた強く出てくる」とした上で、「戦略的互恵関係に基づき中国の立場を尊重する姿勢を強調しつつ、中国の怒りが収まるのを待つことになるかもしれない。本音を言わずにどう他国と関係を構築するかという外交の基本的な手腕が高市氏に問われている」と話した。

愛知学院大教授の森正氏(政治学)は「高市氏が中国に対して歴代首相よりも踏み込んだ発言をしたことは国内保守層に支持されダメージとなっていない可能性がある。また、政権の物価高対策への期待も大きい」と指摘。「内閣支持率が高いため高市氏としても自らの発言の撤回・修正は難しく、日中関係の悪化を修復するにはしばらく時間がかかるのではないか」と話す。

経済面への影響については「中国側は現時点で自制的に対応している。対日で切れるカードはたくさん持っているものの、段階的に切ってくるだろう」と見た上で、「日本経済への影響は現時点では大きくはないが、レアアースの対日輸出などに規制が広がればより甚大な影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らした。

(鬼原民幸、竹本能文 編集:橋本浩)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2025トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプのイラン攻撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月10号(3月3日発売)は「トランプのイラン攻撃」特集。核・ミサイル開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。アメリカとイランの全面戦争は始まるのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪GDP、第4四半期は約3年ぶり高い伸び 先行きに

ワールド

米エクソン、近くベネズエラに人員派遣 条件整えば「

ビジネス

米インテルのイアリー会長が退任へ、後継は取締役のバ

ビジネス

午前の日経平均は続落、2100円超安 中東情勢懸念
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 4
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 5
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 6
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 9
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 10
    「日本食ブーム」は止まらない...抹茶、日本酒に「あ…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中