最新記事
BOOKS

日本人ルポライターが受けた、ウイグル「国家安全危害罪の疑い」取り調べの壮絶な実態

2025年10月11日(土)16時55分
印南敦史(作家、書評家)

「どう見ても普通の旅行ではない」と疑われた

それでも決して諦めず、なにかが得られるという保証のない取材を続ける著者の姿勢には感服するしかない。が、行く先々でそんなことを続けていたら、なにかが起こらないことのほうが不思議だ。

事実、自治区の北西部にある町、グルジャでモスクや収容所とされる建物を訪ね、カザフスタンを目指す過程で警察から呼び止められてしまう。

携行品の調査に同意する旨が書かれた書面にサインするよう求められ、スマホの写真フォルダを念入りにチェックされる。フォルダ内には「反中デモ」を連想させる写真も多数収められていた。


「この奥に座って待っていろ」
 三畳ほどのガラス張りの部屋に入れられ、施錠された。室内の壁やベンチはすべて青色のクッション張りになっている。自殺防止のためだろう。ベンチに腰掛けると、自分は今、拘束されているのだとはっきり分かった。
 ガラス張りの壁の向こうは六畳ほどの広さがあり、あちら側のベンチでは警官二人が常にこちらを監視している。名刺サイズの小型カメラを常時こちらに向け、動画撮影をしていた。(144〜145ページより)

そののち「タイガーチェア」と呼ばれる拷問具が置かれた取調室で約2時間にわたり、家族構成、学歴、職歴、仕事内容、そして日本ウイグル協会との関係などについても細かく問われた。

旅行をしていると主張したものの、「どう見ても普通の旅行ではない、記者として取材をしていたのではないか」と疑われた......というより見抜かれたのだ。中国では記者活動は免許制になっており、政府公認のメディアに属していない限り取材や執筆が許されないのだという。


「お前には『国家安全危害罪』の疑いがある。ああいう写真を所持することは中国では許されておらず、完全に違法だ。最高刑は無期懲役となる」(147ページより)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、来週にもベネズエラ制裁さらに解除=ベセント氏

ワールド

吉村・維新の会代表、冒頭解散「驚きない」 高市氏と

ワールド

イラン当局、騒乱拡大で取り締まり強化示唆 ネット遮

ビジネス

決算シーズン幕開け、インフレ指標にも注目=今週の米
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画をネット民冷笑...「本当に痛々しい」
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 7
    決死の嘘が救ったクリムトの肖像画 ──ナチスの迫害を…
  • 8
    美男美女と話題も「大失敗」との声も...実写版『塔の…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中