最新記事
教育

日本の公的教育支出は、GDP比で見ても子ども1人あたりで見ても他の先進国より低い

2025年9月22日(月)10時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

では、子ども・若者1人あたりの額にするとどうか。2022年の日本の公的教育費支出は、上述のようにGDPの2.86%にあたる。この年の日本のGDPは4兆2601億ドル。公的教育費支出の実額は、2.86%をかけて約1218億ドルと見積もられる。これを同年の0~24歳人口で割ると4578ドルで、他国と比較できるようにドルを基準にした物価水準指数(0.74)で割ると6187ドルとなる。これが、日本の子ども・若者1人あたりの公的教育費支出だ。

同じようにして、37カ国の子ども・若者1人あたりの公的教育費支出額を計算した。<図2>は、各国を高い順に並べたグラフだ。

newsweekjp20250922003507.png


日本は37カ国中27位で、先ほどのデータより順位は上がっているものの主要国の平均水準を下回る。北欧諸国、韓国、アメリカには遠く及ばない。子ども・若者1人あたりでみてもこんなものだ。

各国の政府が子ども・若者1人にどれほどの教育費を出したかをイメージしやすいよう、「1ドル=115円」として円換算すると、首位のノルウェーは274万円、韓国は123万円、アメリカは115万円、日本は71万円で、違いは歴然としている。

北欧では、大学まで学費が無償だ。対して日本では国立大学が財政難に苦しみ、そのツケを「学費3倍に値上げ」という形で家計に押し付けようとしている。「カネを出せ」は、学生の家庭ではなく国に言うべきだろう。

<資料>
OECD「Education at a Glance 2025」
総務省「世界の統計2025」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ドイツ鉱工業生産、9月は前月比+1.3% 予想を大

ビジネス

日産、通期純損益予想を再び見送り 4━9月期は22

ビジネス

ECB、量的緩和再開は「まだ遠い」=シュナーベル専

ビジネス

スズキ、4ー9月期純利益11%減 半導体問題で通期
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイロットが撮影した「幻想的な光景」がSNSで話題に
  • 4
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 5
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 6
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇…
  • 7
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 8
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中