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ウクライナ戦争

キーウが燃えている...飛来するドローン、避難先の人々、終わりなき恐怖...戦争と人々のリアルとは

Another Bad Night in Kyiv

2025年6月18日(水)18時00分
アニ・チヒクバゼ(ジョージア人ジャーナリスト)

6月10日のキーウ市内

6月10日のキーウ市内 YEVHENII ZAVHORODNIIーGLOBAL IMAGES UKRAINE/GETTY IMAGES

それは開戦以来、最大級の攻撃だった。ウクライナ軍の「クモの巣作戦」で多数の戦略爆撃機を破壊されたロシアの、怒りの報復というわけだ。

スマホに友人たちからのメッセージがひっきりなしに届いた。恐怖心がみんなをつなぐ。励ましも、クールなジョークもあれば悪態もあった。


数分おきに爆発音がした。イラン製の自爆ドローン「シャヘド」は、その独特な音からウクライナでは「モペッド(原動機付き自転車)」と呼ばれている。耳元で蚊が飛んでいるような音だ。午前3時に聞かされるのはたまったものではない。不気味な高音が近づいてきて、その後、爆発。外では車の警告音が狂ったように鳴り響いていた。

戦時下を生き抜く工夫

私たちがいたのは5階の廊下。なんだか薬草みたいな匂いがした。昔のソ連でよく使われていた鎮静剤みたいな。寝間着姿の年配の女性2人が、私に椅子を勧めてくれた。「床に座っちゃ駄目。あんたらは子供を産まなきゃいけないんだから」。そう言われた。

2人とも昔は工場で働いていて、ソ連時代にこのアパートをもらい、ずっと住んでいるそうだ。2人ともやけに元気で、廊下の避難所でよもやま話に花が咲いた。この戦争が始まった直後にはパンのかけらで空腹をしのぎ、いつロシア軍の兵隊がやって来て拷問されるかと恐怖に怯えていたそうだ。片方の女性の亡夫が私と同じジョージアの出身と聞いたときはうれしかった。

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