専用アプリに登録、位置情報を提供しなければ強制送還...モスクワが外国人の位置情報提供を義務化

テロを警戒するロシア政府は移民規制を強化 ARTEM PRIAKHINーSOPA IMAGESーLIGHTROCKET/GETTY IMAGES
<昨年3月にモスクワ郊外で起こったテロ事件以降、ロシアは移民規制を強化している>
首都モスクワとモスクワ州に在住する外国人に位置情報の登録を義務付ける──。ロシア下院が5月20日、新たな法案を可決した。上院で承認されれば、9月1日から4年間、新制度が試行される。
該当地域の外国人居住者は今後、専用アプリに登録して、位置情報を含む個人情報の処理に同意しなければならない。ホテル滞在者、入院中や刑務所に拘束中の外国人、未成年者、外交官とその家族、ベラルーシ市民は対象外だ。位置情報の提供を3日以上怠った場合は、不法滞在者データベースに登録され、強制送還手続きが開始される。
昨年3月にモスクワ郊外でタジキスタン出身の容疑者によるテロ事件が起きて以来、ロシア政府は移民規制を強化している。中央アジア諸国の市民にとって、ロシアは働き口やよりよい収入を期待できる移住先だ。新制度は移民労働者をさらに締め付けかねず、彼らが賄賂の支払いを迫られたり、ロシア軍への参加に追い込まれることが懸念される。