トランプも恐れる「厄介な事態」に?...イスラエル・トルコが虎視眈々と狙う「新生シリア」で何が起きるのか

ALLIES COLLIDE: WHAT NEXT?

2025年4月23日(水)14時32分
トム・オコナー(外交担当副編集長)

ネタニヤフは2月に「シリアの新政権の部隊がダルアー、クネイトラ、スワイダ県から撤退してシリア南部を完全に非軍事化する」ことを要求し、「南部のドルーズ派のコミュニティーに対する、いかなる脅威も容認しない」と主張した。

この発言にシリアのドルーズ派住民は抗議の声を上げ、シリアの新しい国旗を掲げてイスラエルの撤退を要求した。3月初めにはドルーズ派とキリスト教徒が多く住むダマスカス郊外のジャラマナで、シリア暫定政権の治安当局者が殺害された。

イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は軍事介入を示唆し、イスラエル軍は「シリアの過激派イスラム主義テロ政権がドルーズ派を傷つけることを許さない」と明言した。

イスラエルはシリアの少数派の保護者であるかのように装い、トルコは自分たちがシリアの安定と統一を主導すると誇示している。

「トルコはシリアの安全と安心を最も重視しており、その上で領土保全と政治的統一が維持される」と、在米トルコ大使館の駐在官は本誌に語った。「この点において、私たちはシリアの主権と領土保全を損なうあらゆる試みに反対する」

紛争の脅威に広がる悲観論

この人物はさらに、トルコがシリアの反体制派と長年にわたり関係を築いていることや、シリアの新政権を国際社会で再建する意向があることに加え、シリアの紛争がトルコ国内に与える影響も強調した。

トルコは世界最大の難民受け入れ国であり、現在も300万人近いシリア難民が生活している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

テスラに2.43億ドルの賠償命令、死傷事故で連邦陪

ビジネス

バークシャー、第2四半期は減益 クラフト株で37.

ビジネス

クグラーFRB理事が退任、8日付 トランプ氏歓迎

ビジネス

アングル:米企業のCEO交代加速、業績不振や問題行
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザベス女王の「表情の違い」が大きな話題に
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マ…
  • 5
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 6
    ハムストリングスは「体重」を求めていた...神が「脚…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 9
    すでに日英は事実上の「同盟関係」にある...イギリス…
  • 10
    なぜ今、「エプスタイン事件」が再び注目されたのか.…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 5
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 6
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 7
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 8
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 9
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 10
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中