最新記事
株式市場

大統領はどこまで「株安許容」するのか?...なお残る「トランプ・プット」期待

2025年4月8日(火)12時59分
ウオール街

4月7日、トランプ米大統領は自らの関税政策がもたらしている大幅な株安をこの先どこまで容認するつもりだろうか――。ウオール街で同日撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)

トランプ米大統領は自らの関税政策がもたらしている大幅な株安をこの先どこまで容認するつもりだろうか――。投資家はこの点に関する手掛かりを必死で探り当てようとしている。最終的にトランプ氏が株価救済に乗り出す「トランプ・プット」の望みも全く消え去ったわけではない。

トランプ・プットは1期目時代の株式市場にとってはずっと大きな支柱となってきた。トランプ氏はしばしば、株高を自身の政策が成果を発揮している証拠として挙げ、1期目を通じてS&P総合500種は68%上昇して何度か最高値を更新。株価についてトランプ氏がツイートした回数は150回余りに達した。


 

ところが今回、トランプ・プット期待は後退が続き、少なくとも投資家の意見は、トランプ氏が株価急落を容認する方向に大きく傾いているとの見方に集約されつつある。トランプ氏が大統領に復帰した1月20日以降で、S&P総合500種とナスダック総合の下落率はそれぞれ15%強と20%強になっている。

エンジェルズ・インベストメンツのマイケル・ローゼン最高投資責任者は「関税や通商政策の全体的な構想はトランプ氏の精神の一部を成すものである以上、放棄されるとは思えない」と語り、トランプ氏に政策転換を促す痛みのレベルはまだはるか彼方にありそうだと付け加えた。

こうした中で投資家の間では、トランプ氏が2日に「相互関税」の詳細を発表したことで、本当にトランプ・プットはなくなったのか、それとも貿易相手との各種取引と関税の巻き戻しを通じていずれまた出現するのか改めて問題提起されている。

アンリミテッド・ファンズのボブ・エリオット最高経営責任者(CEO)兼最高投資責任者の場合、政策転換に至るまでなお売り局面が長く続くシナリオを描く。「株価が20─30%下落しなければ政策転換につながらない。だからこれまでの値下がりは十分とは言えない」という。

一方ベル・エア・インベストメント・アドバイザーズのパートナー、ケビン・フィリップ氏は「(トランプ氏が)大幅な株安を容認するとは思わない。彼は支持率に目を向けるだろうし、株安容認は政策課題全体を危険にさらす」と語り、さまざまな取引を成立させるか、軌道修正の理由を考え出す以外、出口はないとみている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中