最新記事
ウクライナ情勢

ロシアとウクライナの「エネルギーインフラ」が停戦交渉で焦点に

2025年3月18日(火)22時26分
ウクライナのザポロジエ原発

トランプ米大統領はロシアのプーチン大統領と3月18日にウクライナ戦争の終結に向けた協議を行い、交渉では「土地」と「発電所」が譲歩の対象になると示唆したが、詳細には触れなかった。写真はウクライナのザポロジエ原発。2023年6月撮影(2025年 ロイター/Alina Smutko)

トランプ米大統領はロシアのプーチン大統領と18日にウクライナ戦争の終結に向けた協議を行い、交渉では「土地」と「発電所」が譲歩の対象になると示唆したが、詳細には触れなかった。

2022年のロシアによるウクライナ侵攻以来、ウクライナのエネルギーインフラは大規模な攻撃を受け、数百万人が停電や極寒に苦しんでいる。一方、ウクライナもロシアの製油所、ポンプステーション、石油・ガス輸出港に対して長距離ドローンによる報復攻撃を行っている。

停戦協議で鍵になり得るエネルギーインフラの現状をまとめた。


 

ウクライナの発電所

欧州最大の原子力発電所であるウクライナのザポロジエ原発は1基あたり1ギガワット(GW)の発電能力を持つ原子炉を6基備えており、2022年3月初旬にロシア軍に占拠された。付近で戦闘が続いたため同9月に運転を停止したが、ウクライナ側の送電網から電力供給を受け、原子炉は維持されている。ウクライナ国営原子力企業エネルゴアトムは、設備の今の正確な状態は不明で、ロシアによる占拠が続けば深刻な事故につながりかねないと警告している。

同原発は23年に水力発電所が破壊されたためカホフカ貯水池からの水供給が絶たれ、現在は冷却プールの水を使っているが、プールの水位は低下している。技術者によると、水不足のため原子炉2基以上が稼働できなくなっている。また発電所の技術的な状態が不明で、再稼働には少なくとも1年を要するとみられる。

ウクライナは原発以外にも火力発電所(ガス・石炭)や水力発電所の発電能力を喪失しており、複数の大規模な熱電併給プラントも損傷を受けるか、完全に破壊されている。

建築
顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を持つ「異色」の建築設計事務所
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 6
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 8
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中