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荒川河畔の「原住民」(23)

7回繰り返した自殺未遂について、このホームレス男性は穏やかな顔で語った

2025年3月5日(水)16時15分
文・写真:趙海成

2度手首を切って死のうとした少年時代

征一郎さんはまず、2回の自殺未遂の経験を話してくれた。どちらも手首を切って自殺を試みたという。

1度目は中学3年生の時だった。

不良仲間と「三人組」を結成し、校内で威張っていただけでなく、赤羽地区でも少年不良集団として一躍有名になった。学校の先生は彼らの危険な言動を抑えるために、彼ら3人の交流を禁止し、「さもないと少年院に送る」と言った。

征一郎さんは、もちろん少年院になど入りたくなかった。けれども、盟友と別れたくもなかった。

悩んだ末、死ぬことを選んだ! 腕の血管をナイフで切ると血が出始めた。そのまま寝転ぶと、昏睡状態になった。

2時間後に目が覚めると、手首の血が乾き、塊となっていた。後になって彼は、人は「血液凝固」という生命を守る機能を持っていることを知った。

彼が2度目に手首を切ったのは、友人と喧嘩し、衝動的になったときだった。

今度の傷口は大きかったが、彼は死ぬことができなかった。かといって腕を動かすこともできず、ギターを弾けなくなるのを恐れて、病院に駆けつけ、救急治療を受けたという。

荒川河川敷のホームレス

征一郎さんが手首の傷跡を見せてくれた

ホームレスになり、拾った睡眠薬で3度自殺を試みた

他にも征一郎さんは、睡眠薬を飲んで自殺未遂をしたことが3回ある。

その中で最も危険だったのは、ホームレスに対する社会の不公平さに死をもって抗議しようとしたときだ。彼は大量の睡眠薬をブランデーで一気に飲み込んだ。その後、丸3日間昏睡状態になったという。

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