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荒川河畔の「原住民」(22)

日本は恵まれている? ホームレスから見た政府機関の厳しさと優しさ

2025年2月21日(金)19時15分
文・写真:趙海成

国交省の対応にも厳しい面と優しい面がある

荒川一帯は日本の国土交通省の管轄下にある。そのため、警察官だけでなく国交省の職員もまた、荒川河川敷に住んでいるホームレスたちと接触せざるを得ない。彼らはホームレスに対してどのような態度を取っているのだろうか。

Nさんの話によると、国交省はホームレスに対し、厳しい面もあれば、優しい面もあるという。 何かの理由で橋脚の下に住んでいるホームレスを立ち退かせるときには、決して手加減はしない。ホームレスに短期間で退去するように命令を出し、徹底的にそれを実行する。

退去した後は、速やかに片付け、二重のフェンスで厳重に囲み、ホームレスたちが二度とその場所に住めないようにしている。厳しく見えるが、当たり前の公務施行である。

一方で、このような温和で優しい面もある。

例えば、台風・豪雨が襲ってくる前に、国交省の職員が白い制服とヘルメットを着用し、台風警報チラシ(チラシの内容には、台風の動向と分布図、具体的な対応策などが含まれている)を荒川河川敷に住むすべてのホームレスに配るという。不在の場合は、チラシを橋脚や壁に貼っていく。

要するに、台風が来たときの人身事故やホームレスたちの生活用品の損害を減らすためである。これは、彼らに国民の生命と財産を守る意識があり、並大抵でない努力があることの証明だろう。

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