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荒川河畔の「原住民」(20)

「僕はホームレス」その長い髪とひげには「理由」と「秘密」がある...

2025年1月31日(金)14時40分
文・写真:趙海成

5年以上切っていない髪とひげ

確かに、彼は誰のことも恐れない。しかし、彼が人の前に突然現れたときは逆に、その姿で相手を驚かせ、怖がらせてしまうことが多い。深夜であればなおさらだ。

荒川河川敷のホームレス

征一郎さんは夜が更けて人々が寝ている間にアルミ缶を集めに出かけることが多い

ある日の夜11時、私は征一郎さんと一緒に、荒川から遠くない、ある住宅地にアルミ缶を集めに行った。彼がどんな風に働いているかを見るためだった。

彼が乗る自転車の後ろから、10メートルほどの距離を空けて自転車でついていった。すでに夜は更けている。道中で、自転車に乗った女性が正面から近づいてきたことが2回あった。

彼女たちはどちらも、征一郎さんに近づいた瞬間、まるで幽霊に遭遇したかのように恐れ、逃げるかのように、すれ違う前に曲がっていった。

こんな状況が時々あるそうだ。最も悲しかった出来事は、髪を振り乱した彼を見て、子供がびっくりして泣いたことだったという。

征一郎さんの記憶によれば、前回髪を切ったのは7年前だったという。ひげは5年間、剃っていない。「次はいつ髪を切り、ひげを剃るつもりですか」と聞くと、「まだその問題については考えていない」と答えてくれた。

1.5万円もらえ、小奇麗に変身するショートムービーの提案

少し前にあるメディア関係者が征一郎さんのところに相談に来て、「華麗に変身するショートムービーを撮ってあげたい」という話があったそうだ。

要するに、ホームレスの彼を銭湯に連れて行き、美容室で髪とひげを整えて、最後にお洒落なスーツに着替えて風格のある紳士のように装う、という企画だった。このような動画は海外の動画投稿サイトに時々あるが、視聴者の目を引くのだろう。

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