最新記事
報復

ハマス奇襲から1年。「イランの核をまず叩け」と煽るトランプに対するイスラエルの「回答」は

Donald Trump Says Israel Should 'Hit' Iran's Nuclear Sites First

2024年10月7日(月)16時54分
ジェームズ・ビッカートン
ネタニヤフとトランプの関係を風刺し、反戦を訴える壁画

イランに対するイスラエル軍の対抗措置について、10月6日のイスラエルメディアは「深刻で重大なものになる」などと伝えた。写真はネタニヤフ(左)とトランプの関係を風刺し、反戦を訴える壁画(アイルランドのダブリン、8月31日) REUTERS/Clodagh Kilcoyne

<イランの大規模ミサイル攻撃にイスラエルはどう報復するのか、中東戦争勃発を恐れる国際社会の懸念をよそに、米共和党の大統領候補は真っ先にイランの核兵器を攻撃するべきだと発言>

ドナルド・トランプは、10月1日のイランによるイスラエル攻撃への反撃として、イスラエルは「まず核を攻撃し、その後のことは後で心配するべきだ」という考えを明らかにした。

10月4日にノースカロライナ州で開催された選挙集会で、共和党の大統領候補トランプは、イスラエルに抑制を求めるジョー・バイデン大統領を批判した。

イランは10月1日、イスラエルに向けて約180発のミサイルを発射した。イスラエルによる9月末のヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ暗殺と、7月のハマス最高指導者イスマイル・ハニヤの暗殺に対する報復とみられる。

BBCによると、この攻撃でイスラエルの軍事基地がいくつか被弾し、レストランや学校も被害を受けた。死者は一人だった。

核兵器こそ最大のリスク

記者にイスラエルの報復攻撃を許容するかと聞かれたバイデンは、「核施設以外なら」と答えたが、それをトランプはこう批判した。

「それこそが攻撃したいところだ。バイデンは間違っている。核施設こそ攻撃すべきだ。われわれにとって最大のリスクは、核の威力だ。バイデンは『核を先に攻撃して、後のことは後で心配すればいい』と答えるべきだった」。

国連の核監視団によれば、イランが保有する核燃料に使う濃縮ウランの濃縮度は最高60%で、核爆弾の製造に必要な濃縮度に近い。イラン政府は自国の核開発プログラムが平和的なものだと主張しているが、イランの最終的な目標は核兵器製造にあると疑う声もある。

イランは4月13日にも数十発のミサイルと無人機でイスラエルを攻撃しているが、これは4月1日にシリアの首都ダマスカスでイスラエルの攻撃によってイランの革命防衛隊幹部らが死亡したことに対する反撃と発表している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:中国で値下げ競争激化、デフレ長期化懸念 

ワールド

米政権、農場やホテルでの不法移民摘発一時停止を指示

ワールド

焦点:イスラエルのイラン攻撃、真の目標は「体制転換

ワールド

イランとイスラエル、再び相互に攻撃 テヘラン空港に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 3
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されずに「信頼できない人」を見抜く方法
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 9
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 10
    先進国なのに「出生率2.84」の衝撃...イスラエルだけ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 8
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中