金正恩独裁体制の崩壊「5つのシナリオ」を検証する

ON THE BRINK

2024年3月1日(金)11時09分
エリー・クック(本誌安全保障・防衛担当)

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関係を深める北朝鮮とロシア(昨年9月、ロシアのボストチヌイ宇宙基地) EYEPRESSーREUTERS

米シンクタンク・外交問題評議会の米朝政策プログラムを率いるスコット・スナイダーは「北朝鮮は外から見るよりはるかに強固な体制を保っているようだ」と言う。

一方で、「他の国々より危うい状況にあるのは確かだ」と、米国防総省の元顧問のフランク・アムは断言する。

もしも崩壊するとすれば、どんな道をたどるのか。

金正恩はありとあらゆるシナリオを想定して守りを固めていると、スナイダーはみる。

■シナリオ①:戦争

「金正恩は戦争を行う戦略的決断をした」──北朝鮮分析サイトの38ノースに今年1月、こんな見解が投稿され、大きな波紋を呼んだ。

これは理解し難い主張ではない。北朝鮮は世界でも屈指の軍事化が進んだ国で、軍隊の規模は韓国の2倍を上回る。

今年1月下旬には新型の戦略巡航ミサイルの発射実験を行ったと発表。ただし北朝鮮の国営通信は、実験実施は「地域情勢とは無関係だ」と主張した。

データプラットフォーム「スタティスタ」の数字を見ると、北朝鮮の軍事支出は22年にGDPの3分の1に達したもようだ。21年はGDPの4分の1だったから激増と言える。

北朝鮮は23年11月に初めて偵察衛星の打ち上げに成功した後、18年に韓国と取り交わした南北軍事合意を破棄し、今年に入り韓国側の島々の近くに越境砲撃を行った。

こうした動きと軌を一にして、南北統一政策の転換を宣言。統一を象徴する記念塔も撤去したとみられる。

北朝鮮は通常兵力に加え、サイバー攻撃能力を高めるためにも資源を投入しており、地域においてこれまで以上に危険な存在になっていると、アナリストらは警告している。

緊張が高まれば、挑発行為が起きやすくなり、事態がエスカレートし大変動が起きかねないと、ブルッキングズ研究所東アジア政策研究センターのシニアフェロー、アンドルー・ヨは言う。

とはいえ現状では、行動以前に言説が独り歩きしているようだ。

北朝鮮の軍隊は規模こそ大きいが、韓国軍が米軍などとの合同演習を通じて経験してきたような幅広い訓練を積んでいないと、ヨは指摘する。

今年1月中旬、米軍は韓国軍、日本の自衛隊と共同訓練を行い、韓国支援の約束を果たす姿勢をアピールした。韓国は武器輸出の拡大に注力しつつ、自国の軍備も増強している。

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