最新記事
南シナ海

横暴中国、バリアーを張って南シナ海のフィリピン漁船を物理的に排除

China's 'Floating Barrier' Sparks Fury From Philippines

2023年9月25日(月)15時17分
アンドリュー・スタントン

海も魚も独り占め?フィリピン漁船の操業を阻む中国のバリアー INQUIRER.net/YouTube

<誰も中国のものとは認めていない海で、ますます強引になる中国の追い出し手法>

【動画】韓国海警、違法操業の中国漁船に初の機関銃700発使用

フィリピン沿岸警備隊は9月24日、中国と領有権を争っている南シナ海の海域で、中国が水に浮く球体を並べた「浮遊障壁」を設置した、と激しく非難した。

フィリピン沿岸警備隊のジェイ・タリエラ報道官は23日夕方、X(元ツイッター)で、南シナ海のスカボロー礁近くで長さ300メートルの浮遊障壁を発見したと明らかにした。スカボロー礁はフィリピンのルソン島西部にあるサンバレス州から約200キロメートル離れた沖合にある岩で、中国とフィリピンの双方が領有権を主張しているが、2012年以降、中国が実効支配している。

この浮遊障壁のせいでフィリピンの漁船がスカボロー礁の周辺海域に「入ることができず、漁ができずにいる」、と、フィリピン政府は障壁の設置を「強く非難」する、とタリエラ報道官は続けた。

南シナ海の90%の管轄権を主張する中国とフィリピンの間の緊張は高まっている。

フィリピン漁船への妨害行為か

タリエラ報道官によれば、浮遊障壁を発見したのは、沿岸警備隊と漁業水産資源局(BFAR)の通常のパトロール中だったという。この海域で操業するフィリピンの漁業関係者によると、中国は多くのフィリピン漁船を見つけるたびにこの浮遊障壁を設置する。

タリエラによれば、BFARがパトロールと並行して漁民に食料や燃料を支給していたときも、中国海警局の船が4隻現れ、この海域にフィリピンの船がいるのは国際法違反だとして、無線で退去を求めてきたことがある。

ロイター通信によれば、この数日前にフィリピンは、南シナ海の排他的経済水域(EEZ)内のサンゴ礁を破壊していると中国を非難したばかり。豊かだったサンゴ礁を破壊して白化を招いたとしてフィリピン政府は法的措置を取る意向を示している。だが中国は「政治ドラマ」をでっち上げようとしているだけだと一蹴した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中