最新記事

イギリス

スナク元財務相、英新首相に就任へ 「経済的安定を優先」と表明

2022年10月25日(火)10時32分
イギリスのスナク次期首相

トラス英首相の後任を決める与党・保守党の党首選で、スナク元財務相(42、写真)が新党首に選出され、次期首相に就任する見通しとなった。9月撮影(2022年 ロイター/John Sibley)

トラス英首相の後任を決める与党・保守党の党首選で、スナク元財務相(42)が新党首に選出され、次期首相に就任する見通しとなった。対抗馬のモーダント下院院内総務が24日、撤退を表明したことを受けた。

スナク氏はチャールズ国王から政権樹立を要請される見通し。

保守党のイアン・ダンカンスミス議員らによると、スナク氏は24日、保守党議員に対し、まずは経済的安定の実現を優先し、その後2019年の保守党の選挙公約の実現に目を向けると表明。一方で、国政選挙の実施を否定したという。

英大衆紙サンの記者によると、スナク氏が議員に対し保守党の「あらゆる翼」が入閣すると話した。

モーダント氏はスナク氏を全面的に支持すると指摘。声明で「この決定は歴史的なものであり、保守党の多様性と手腕を再び示すものだ」とした。

トラス氏もツイッターで、スナク氏を「全面的に支持する」と述べた。

モーダント氏の撤退表明を受け、ポンドと英国債価格は一時的に急伸したものの、すぐに表明前の水準に戻った。ITVの記者によると、国王はロンドンに戻っており、24日遅くか25日にトラス氏の辞任を受け入れる可能性があるという。

保守党のジェイク・ベリー議長は声明で「今こそ党全体が一丸となり、スナク氏の後ろで固く団結する時だ。スナク氏はわれわれが国として直面する課題に取り組むという重要な仕事に取り掛かる」と指摘。「スナク氏に率いられ、英国民の優先事項を実現できると確信している」と述べた。

IGのシニアマーケットアナリスト、ジョシュア・マホニー氏は、スナク氏の新首相就任というニュースで市場に新たな不確実性が生じることが回避されたと指摘。その上で「中銀と政府の政策引き締めが経済に大きな打撃を与えることなくインフレを速やかに低下させることに多くの人が期待しているが、トレーダーは経済への影響が予想以上に大きく、インフレによって金利が長期的に上昇することを引き続き懸念している」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メキシコ当局者、中国EV現地生産に優遇策適用せず 

ワールド

WHOと専門家、コロナ禍受け「空気感染」の定義で合

ワールド

麻生自民党副総裁22日─25日米ニューヨーク訪問=

ワールド

米州のデング熱流行が「非常事態」に、1カ月で約50
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中