最新記事

宇宙

「こうすれば飲める!」宇宙飛行士のコーヒー休憩...無重力環境の専用カップが存在した

2022年10月24日(月)19時30分
青葉やまと

クリストフォレッティさんはこの動画に、「一杯の美味しいコーヒーを飲むのは、宇宙ではちょっと違った感じになる......見て!」とのメッセージを添えて投稿している。宇宙での生活のひとコマを明かしたこの動画は、Twitter上で現在までに35万回再生された。

国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の宇宙飛行士たちは、ちょっとしたコーヒー休憩の際にも地上とは違った工夫を取り入れているようだ。

パウチ容器に辟易した宇宙飛行士が考案

スペースカップは、宇宙ステーションおよび探査機向けの流体システムを専門に手掛ける米IRPI社が開発した。

米科学誌の『ディスカバー』によると、きっかけはNASAの宇宙飛行士であるドナルド・ペティさんだった。彼は2008年ごろ、パウチ容器から直接コーヒーを吸い出すのにうんざりしていたという。

そこで彼はIRPI社にコンタクトし、宇宙で使えるカップ製品を共に開発した。無重力では液体燃料を運ぶために、毛細管現象を使うことがある。この原理をもとにカップを試作したところ、非常にうまくいったという。2015年にはこうして完成したカップのうち6つがISSに持ち込まれ、宇宙空間での実験の一部に使用されている。

■>>スペースカップの画像はこちら

同社はこのカップを、一般向けにも販売している。NASAによりフライトに適するとの認証が与えられた設計となっており、オーダーメイドで制作されるという。

同社は「アートのかけらと科学、そして宇宙の歴史が一体となったとお考えください」と触れ込んでいる。価格は650ドル(約9万8000円)と高価だが、NASA公認の宇宙用具が手に入ると考えれば価値はあるかもしれない。

長期間を過ごすISSの快適性は、宇宙飛行士にとって重要な課題だ。NASAやESAの対応を待たずに、スペースカップのように宇宙飛行士自らがアイデアを出し実現していくことがあるようだ。

>>■■【動画】宇宙飛行士のコーヒー休憩はちょっと変わっていた...無重力環境の専用カップが存在■■

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:米援助削減で揺らぐ命綱、ケニアの子どもの

ワールド

訂正-中国、簡素化した新たなレアアース輸出許可を付

ワールド

情報BOX:米国防権限法成立へ、ウクライナ支援や中

ビジネス

アングル:米レポ市場、年末の資金調達不安が後退 F
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中