最新記事

セキュリティ

用心すべき? 恋人のパスワード、多くの人が5回以内の突破に自信...米調査

2022年8月18日(木)18時56分
青葉やまと

何回試せば恋人のパスワードを推測できるか尋ねると、平均は5回だった...... tsingha25-iStock

<パスワードで保護しても、安全とは限らない...>

本人が秘密にしていることほど、周囲の人々はなんとなく察していることがある。オンラインの活動を守る砦であるはずのパスワードも、意外とパートナーには筒抜けなのかもしれない。

米認証サービスのプルーブは、市場企業会社の米ワン・ポールと共同して行った調査結果として、「2022年パスワード&認証 消費者トレンド・リポート」を発表した。それによると人々は、平均で5回ほど試行すれば恋人のパスワード認証を突破できると考えているという。

調査は2000人のアメリカ人を対象に行われた。質問項目の一つとして、何回試せば大切な人(通常、配偶者または恋人を指す)のパスワードを推測できるか尋ねたところ、平均は5回だったという。

回答者は、実際にパスワード破りを実証したわけではない。しかし、5回という低い平均値から、多くの人々が恋人のパスワードについてある程度推測をつけていることが伺える。

米紙「パスワードを変えるべき時がきた」

仮に何のヒントもなく完全にランダムなパスワードを当てようとした場合、たとえばiPhoneのロックで一般的に使われている数字6桁のパスコードでは、10万通りが存在する。各種サイトのログインに使われる8桁のパスワードともなると、一例として大文字・小文字を区別する英数字8桁のものでは、あり得るパスワードの数は200兆通りを超える。

こうしたなか、多くの人々が5回以内での推測に自信を示したという調査結果は、恋人や配偶者のパスワードについてある程度あたりがついていることを物語っている。

調査結果を受けてニューヨーク・ポスト紙は、「ほとんどの人々が、パートナーのパスワードをたやすく破れると述べている」「今回の新しい調査結果を読んで、あなたのパスワードを変更すべき時がきたのかもしれない」と報じた。

米MSNは、プルーブ社のロジャー・デザイCEOのコメントを引用している。デザイ氏は、多くのサービスではパスワードを忘れると面倒な手続きが必要なしくみになっており、人々はこれを嫌って同じパスワードを使い回しがちになっていると説明している。

氏は、「インターネットはセキュリティを念頭として設計されませんでした」と述べ、パスワード忘れでオペレーターと20分も通話するようなしくみは「崩壊したモデルをダクトテープで補修しているようなものです」と指摘する。

なお、同社はパスワードや2段階認証を必要としない生体認証のプラットフォームを開発している。これをアピールするねらいも多分にあるだろう。

恋人のパス破りに自信をみせた回答者たちでさえ......

氏の解説には一定の自社PRも含まれていそうだが、とはいえパスワードの使い回しは、セキュリティ上の深刻なリスク要因だ。上記調査で恋人のパスワードを容易に破れると回答した人たちでさえ、自身のパスワード管理を問われると、かなりお粗末な状況を露呈している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中銀は不確実性受け入れるべき、米クリーブランド連銀

ワールド

台湾をWHO総会へ、米と日本など同盟国が共同声明で

ビジネス

シンガポール航空、シートベルト着用規則改定 乱気流

ワールド

ニューカレドニア、「比較的平穏」な一夜 仏大統領訪
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決するとき

  • 2

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレドニアで非常事態が宣言されたか

  • 3

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

  • 4

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 5

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 6

    テストステロン値が低いと早死にするリスクが高まる─…

  • 7

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 8

    韓国は「移民国家」に向かうのか?

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    国公立大学の学費増を家庭に求めるのは筋違い

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 8

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 9

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 10

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中