最新記事

健康

韓国の女性たち、怒り心頭 生理用ナプキンに化学物質で健康被害

2017年9月6日(水)18時37分
杉本あずみ

健康被害の問題が起きたケックタンナラのリリアン (c) JTBC / YouTube

<今、韓国の女性たちを不安に陥れているのは、巨大なミサイルなどではなく、手のひらに収まるものだ──>

「開封後、レシート無しでも関係なく返金致します」。謝罪と共に無条件返金を発表したのは、韓国の生理用ナプキン「リリアン」を発売したケックッタンナラ(日本語訳で「綺麗な国」)社だ。現在、韓国の女性たちはこのリリアン事件で憤慨し、同時に不安に陥っている。

元々、このケックッタンナラ社は2016年「大韓民国ファーストブランド大賞」で4部門に商品が選ばれるなど、消費者から人気の高い使い捨て紙製品を提供し続けていた。特に、赤ちゃん用ウェットティッシュやメイク落とし用ティッシュ。そして、おむつや生理用ナプキンは、韓国のみならず中国でも有名で高い売り上げを上げていた。

特に今回問題となっているリリアン生理用ナプキンは、製品の質もさることながら、「なぜか使うと生理期間が短くなる」「量が減る」といった効果があるということで、ネット上ではその"不思議な効果"が一部の使用者の間で話題となっていた。

ある掲示板では2か月の間に200を超えるリリアンユーザーの声が集まり、なかには「3日で出血が止まったものの、別の商品に変えた途端またすぐに出血が始まった」という意見や、「使用後、数か月生理が止まった」という女性も現れた。その後、リリアン使用時の"不思議な効果"は"健康被害"と呼ばれるようになり他の掲示板サイトにも飛び火。多くの女性の体験談が今回の返金騒動にまで広がっていく。

【参考記事】被災者の本音、女性が抱える避難所ストレス

そもそも韓国の生理用品は日本に比べるとかなり高額である。2004年に韓国は生理用ナプキンを付加価値税の免税対象商品にしたにもかかわらず、1枚の価格平均は331ウォン(約32円)。日本やアメリカの約17円に比べ1.8倍も高額なのだ。2016年には、低所得層の女子学生達が生理用ナプキンが高くて購入できないため、仕方なく靴の中敷きをナプキン代わりにして使用しているというニュースが報道された。この出来事は多くの女性に衝撃を与え、SNSを通じてまたたく間に多くの人の間に広まっていった。


ケックッタンナラのリリアンについてのニュース (c)JTBC / YouTube

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 6
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 7
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中