最新記事

航空

猛暑で飛行機が飛べない! 温暖化の思わぬ影響

2017年8月5日(土)11時20分
アシュリー・ブラウン

高温下では大気の密度が下がり、翼に十分な揚力を受けられなくなる 4Kodiak-iStock./GETTY IMAGES PLUS

<気温50度近い熱波のせいで欠航が続出。運航再開後も一部の乗客が搭乗できない事態に>

アメリカ西部を記録的な熱波が襲った今年6月20日、筆者はアリゾナ州フェニックスを訪れる予定だった。だがフェニックスのスカイハーバー国際空港では、48度を超える気温で飛行機が離陸できなくなり、欠航や遅延が相次いだ。

ようやくフェニックス入りできた6月21日の夜には気温は40度をやや下回り、最悪の熱波は去っていた。だがフェニックスを去る段階になって、デルタ航空から連絡があった。300ドルのクーポンと引き換えに、予定より後のフライトに変更してもらえないかというのだ。

気温は約45.5度。予約したフライトは満席だが、定員オーバーではないから離陸は許可されるはずだが、「重量制限」が課されるという。

気温が高いと空気が薄くなり、離陸に必要な揚力が十分に得られない。そのため、乗客か貨物か燃料を減らして機体を軽くする必要があるのだ。

フライト変更に快く応じる客はそうそういない。搭乗ゲートに向かう頃にはクーポンの額は600ドルに引き上げられ、最終的に1000ドルで11人が変更を了承。飛行機は無事飛び立った。たった1日の猛暑で、航空会社は多額の損失を被るわけだ。

【参考記事】太陽エネルギーが石炭産業を殺す日

重量制限が当たり前に

こうした事態は今後、頻繁に起こりそうだ。コロンビア大学の研究チームは地球温暖化による異常高温が航空機に与える影響を分析し、7月半ばに結果を報告した。

それによると、今世紀半ばから終わりまでに世界中の空港で、1日のうち気温が最も高い時間帯に離陸する航空機の10~30%が重量制限を迫られるようになるという。特に高温地域の空港や滑走路が短い空港、もともと空気が薄い高地の空港が影響を受けやすい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政権、10%の代替関税発動 15%への引き上げ方

ワールド

アンソロピック、AI軍事利用の制限緩和しない意向=

ワールド

米国務省、ロシア攻撃で米の利益損なわないよう警告 

ビジネス

ワーナー、パラマウントと交渉へ 1株31ドルの新提
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中