最新記事

アメリカ政治

ホワイトハウス人材難 「変人」トランプと働きたい人なんていない

2017年6月1日(木)20時00分
グレッグ・プライス

ホワイトハウスの大統領執務室で政権幹部に囲まれるトランプ(2017年3月) Jonathan Ernst-REUTERS

<トランプ政権の大リストラが近いという噂だが、後任がいない。「変人」の部下になってニュースの時間がくるたびびくびくするのは御免だからだ>

トランプ政権の大規模な人材リストラは長い間噂されてきた。5月30日に発表されたホワイトハウスのコミュニケーションディレクター、マイク・ダブキの辞任をもって、もう始まった可能性もある。既存のスタッフを辞めさせるのは簡単だが、自分のために働いてくれる経験豊かで才能に溢れる後任の人材を見つけるのは難しそうだ。

その理由? 元共和党全国委員会(RNC)委員長のマイケル・スティールの言葉を借りれば、だれも「変人」の下で働くなんてことを望んでいないから。

2009年~2011年にかけてRNC委員長を務めたスティールは、トランプ政権と政治経験のない大統領が巻き起こす混沌とした状況に言及した。スティーブ・バノン上級顧問、イバンカ・トランプ大統領補佐官、ジャレッド・クシュナー上級顧問など政権幹部の多くは、政治経験がない素人だ。

ホワイトハウスはしばしば大統領のメッセージを正しく伝えそこなったり、トランプの軽はずみなツイッタ―投稿を止めるのに失敗した。その上、政権内部からはリークに次ぐリーク。ショ―ン・スパイサー報道官も記者を怒らせてばかりいた。

【参考記事】トランプ政権の報道官、アサドとヒトラー比較発言で強い反発招く
【参考記事】私がFBI長官...じゃなく大統領報道官の後任候補です

「才能ある人材候補はどんどん減っている。だってそうだろう、誰が変人と仕事をしたい?」──5月31日に米政治専門メディア「ザ・ヒル」に掲載されたスティールの言葉だ。

こうも言った。「(きちんとした指揮系統も指示もなく)自分の経験と勘だけを頼りに仕事をやっつけなければならず、しかも次のニュースの時間までびくびくして過さなければならない仕事なんて誰もやりたくない」

スティールや他の共和党メンバーがトランプを批判したのはこれが初めてではない。スティールは3月に「ウェスト・ウィング・レポート」の中で、トランプが任期を全うできるとは考えておらず、マイク・ペンス副大統領が大統領に就任するのを楽しみにしている」と語った。

(スティールの「トランプが任期を全うできるとは考えていない」という発言を伝える投稿)


後任人事は難航

ダブキの退職日はまだ発表されていないが、後任がすぐに見つかるとは考えにくい。トランプ政権は前NRC委員長で大統領首席補佐官のラインス・プリーバスの後任も探している。

共和党との関係が深い人は、トランプ政権下で新たな役割を担えることだろう。しかしトランプの元顧問は、プリーバスはスタッフの人選に責任があると「ザ・ヒル」に語った。プリーバスの首がますます危うくなるわけだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA

ビジネス

根強いインフレ、金融安定への主要リスク=FRB半期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中