最新記事

2016米大統領選

注目は午前10時のフロリダ、米大統領選の結果は何時に分かる?

2016年11月8日(火)18時47分
小暮聡子(ニューヨーク支局)

フロリダ州に加え、この激戦州2州にも注目

 観戦ポイントとして注目すべきなのは、各候補が270人に到達するために鍵を握る州の動向だろう。なかでも最も目が離せないのは選挙人29人を握るフロリダ州の結果だ。

 ブッシュ前大統領の次席補佐官を務めたカール・ローブはウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿し、「今年の大統領選の最重要州はフロリダ州だ」と語った。過去6回の大統領選で民主党が制してきた18州と首都ワシントンをクリントンが取れば、その時点で獲得選挙人数は242人。そこにフロリダ州の29人を加えれば270人に達するからだ。逆に言うと、トランプはフロリダを落とすとホワイトハウスへの道がほぼ絶望的になる。

 フロリダ州のすべての地域で投票が締め切られるのは日本時間午前10時だが、クリントンがトランプに大差をつけていればフロリダの開票速報は早い時点で出るかもしれない。逆に僅差の場合は、結果が出るまで数時間かかる可能性もある。2000年のジョージ・W・ブッシュ対アル・ゴアの選挙ではあまりに僅差だったため再集計が行われ、結果が出るのに約2週間を要した。

【参考記事】アメリカ大統領選挙、結果が大接戦 そのとき何が起きる?

 米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」による最新の支持率平均値ではフロリダではクリントンが46.6%、トランプが47%とほぼ互角だが、同州では期限前投票で既に総投票数の約3分の2が投じられたと見られており、クリントン優位が伝えられている。専門家によれば、クリントン陣営の「どぶ板選挙」作戦のおかげでクリントンを支持するヒスパニック系と黒人有権者の投票率が跳ね上がっているという。

 フロリダ州の結果を待つ間に注目すべきは、人種や産業の構成などから「アメリカの縮図」と呼ばれ選挙人18人を握る激戦州オハイオの動向だろう。64年以降の大統領選で、オハイオを落として大統領になった候補はいない。「リアル・クリア・ポリティクス」による最新の支持率平均値では、クリントンが44%、トランプが46.2%と、トランプがリードしている。

 また、激戦州ノースカロライナにも注目が集まっている。4年前の大統領選の結果を正確に予測した統計分析の専門家ネイト・シルバーは、自身が主宰する「ファイブサーティーエイト(538)」で、今年の選挙戦の「主役」はフロリダ州とノースカロライナ州だとして、トランプがこのどちらで負けても270人には届かないとみる。

 選挙人15人を抱えるノースカロライナ州の最新の支持率平均値は、クリントンが45.7%、トランプが46.5%とその差は僅かだ。カール・ローブも、例えトランプがフロリダ州とその他の激戦州で勝ったとしても、クリントンが民主党が過去に勝利してきた18州+ワシントンの242人に加えてノースカロライナ州とバージニア州の両方(合計28人)を取れば決まりだとみる。

 前評判どおりクリントン有利に展開するのか、それとも接戦にもつれ込むのか。はたまたトランプの大どんでん返しがあるのか。他に接戦州とされるのは、アイオワ州(6)、アリゾナ州(11)、ネバダ州(6)、ニューハンプシャー州(4)、コロラド州(9)、ミシガン州(16)、ペンシルベニア州(20)、ウィスコンシン州(10)。だが、勝利演説が何時になるかを予想するには、まずはフロリダ、オハイオ、ノースカロライナに注目するのがよさそうだ。

【参考記事】ニューストピックス 決戦2016米大統領選

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、シカゴ・ロス・ポートランドから州兵撤退

ビジネス

米国株式市場=続落、25年は主要3指数2桁上昇 3

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、年間では2017年以来の大

ワールド

ゼレンスキー氏「ぜい弱な和平合意に署名せず」、新年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中