最新記事

自動運転

自動運転車が移動シアターに変身――フォードが特許取得

車内の天吊スクリーンに投射。危険察知して中断する機能も

2016年3月9日(水)19時03分
高森郁哉

自律走行車の娯楽システム 自動運転時に映像を楽しむ。 写真はボルボ・カーズが研究中のもの。

 自動運転車の実用化に向けて、自動車メーカーや大手IT企業による開発が加速している。では、運転から解放された人は、移動中に何をしたらいい? 米フォード・モーターが提案するのは、「映画鑑賞」だ。

 フォード傘下のフォード・グローバル・テクノロジーズは3月1日、「Autonomous Vehicle Entertainment System」(自律走行車の娯楽システム)と題した特許を取得した。このほど米国特許商標庁のサイトに掲載されAutomotive Business Reviewなどが報じている。

ford-self-driving-cinema-patent.jpg

 特許文書内のイラストで示されているように、基本的な仕組みは、車内前方の天井からロールダウンしたスクリーンに、座席側からプロジェクターで映像を投射するというシンプルなもの。スクリーンでフロントガラスが完全に遮られるので、これは自動運転モード時の使用スタイルだ。

 同特許には「非自動運転モード」(つまり、人が運転するマニュアルモード)についても説明がある。その際はスクリーンとプロジェクターが天井部分に格納され、ダッシュボード、計器パネル、バックミラーに内蔵されたサブディスプレイで引き続き映像を観賞できる。

 自動運転モードで映画を観ている間も、車載コンピュータが自動運転用センサーを常時モニターしていて、衝突の危険などマニュアルモードに切り替える必要がある場合は、自動でスクリーンを引き上げるという。

 自動運転時に映像を楽しむというアイデアは、もちろんフォードだけのものではない。たとえば、ボルボ・カーズとエリクソンは今年1月、自動運転車向けの「インテリジェント・メディア・ストリーミング」を共同開発中だと発表した。助手席前部に大型ディスプレイを搭載し、高速インターネット接続でストリーミング動画を表示する仕組みで、移動ルートとネットワーク状況を予測し、移動時間に合わせたコンテンツを選んだり、データをバッファ(先読み)して高画質動画が途切れないようにするという。

ボルボ・カーズとエリクソンが発表した自動運転車向けの「インテリジェント・メディア・ストリーミング」


 「自動運転車の中で映画鑑賞」が実現したとしても、激しいカークラッシュを売りにしたアクション映画(『ワイルド・スピード』シリーズや『ファイナル・デスティネーション2』)、AIやロボットが暴走する映画(『トランスフォーマー』シリーズや『アイ,ロボット』)などはできれば避けたいところだ。逆に、スリル倍増で興奮する、という強者もいるかもしれないが。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECBの次回利下げ、9月より後になる公算=リトアニ

ワールド

トランプ氏、日本に貿易巡る書簡送付へ 「コメ不足な

ワールド

米政権がロス市提訴、ICE業務執行への協力制限策に

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック最高値更新、貿易交
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引き…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    飛行機のトイレに入った女性に、乗客みんなが「一斉…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中