最新記事

新冷戦

ロシア戦闘機がNATO演習に「乱入」

ウクライナ紛争で緊張が高まる中、軍事演習中の米艦船の上空に戦闘機を飛ばすロシアの意図は

2015年6月10日(水)17時18分
クリストファー・ハーレス

新たな緊張 米海軍はロシア軍機の動画を公開(写真は似たタイプの戦闘機) Sergei Karpukhin-REUTERS

 それはまるで、米ソ冷戦を描いた映画のワンシーンのようだった。今週初めのある夕方、バルト海の公海上で行われていたNATO(北大西洋条約機構)の合同軍事演習「BALTOPS 2015」の最中に、ロシア軍機が飛来。艦船や航空機の上空を飛行した。

 米強襲揚陸艦サン・アントニオの海兵隊員がその撮影に成功し、米海軍がユーチューブに動画を公開した。それを見ると、艦船の上空を2機の未確認ジェット機が低高度、高速度で飛んでいるのがわかる。

「ロシア空軍のおかげで、米海軍と海兵隊は演習中に航空ショーを楽しめた」と、皮肉たっぷりの説明文が動画には付いている。


 この合同軍事演習には、艦船に加え、5600人の地上部隊が参加。6月5日に始まり、19日まで続く予定だ。米海軍の公式サイトによれば、海上演習の目的は「幅広い作戦領域における協力体制、知識、技術を維持し、個々の部隊及び多国籍軍の能力を高めること」だという。

 最近はバルト海だけでなく黒海でも、ロシア軍機が米海軍の軍艦上空に現れ、騒ぎになった。

NATO諸国の領空侵犯を繰り返す

 今回の軍事演習にはNATO加盟の14カ国に加え、フィンランド、スウェーデン、ジョージア(グルジア)が参加したが、事前のNATOによる発表によれば特定の脅威を対象とするものではなく、現に今年で43年目となる恒例の演習だ。

 しかし今年はその重要性がかつてないほど高まっており、ロシア機「乱入」も偶然とは思えない。昨年3月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ南部のクリミア自治共和国を併合。その後も1年以上、ロシアはウクライナ東部の親ロシア派武装勢力を支援しており、欧米との関係は非常に悪化している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「今すぐ検討必要ない」、中国への2次関税

ワールド

トランプ氏「非常に生産的」、合意には至らず プーチ

ワールド

プーチン氏との会談は「10点満点」、トランプ大統領

ワールド

中国が台湾巡り行動するとは考えていない=トランプ米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 5
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 6
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 9
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 7
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 8
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 9
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中