最新記事

米外交

パレスチナのユネスコ加盟にアメリカが報復

イスラエルの敵を国家扱いしたとして、パレスチナを加盟させたユネスコへの拠出金を凍結

2011年11月1日(火)14時49分
ハンナ・イングバー・ウィン

歴史的採択 ユネスコ総会の決定が中東和平の足を引っ張る?(10月26日) Benoit Tessier-Reuters

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は10月31日に行われた採択で、パレスチナを正式な加盟国として迎え入れることを決定した。だが、盟友イスラエルの敵を国家扱いする姿勢に、アメリカは猛反発。ユネスコへの拠出金の支払いを凍結すると発表した。

 アメリカはユネスコ分担金の22%を担う最大の拠出国で、拠出金は年間8000万ドルにのぼる。だがアメリカの法律では、パレスチナを国家として認める国連組織には資金を出さないと規定されており、米国務省は11月に予定していた6000万ドルの拠出を凍結すると発表した。

「ユネスコの無謀な決定は反イスラエル、反中東和平だ」と、米下院外交委員会のイリアナ・ロスレーティネン委員長(共和党)は声明で語った。「イスラエルとの交渉を無視して『パレスチナ国家』の承認を模索するパレスチナ主導の危険なスキームに報いる行為であり、中東和平の実現を遠のかせる」

世界の過半数が加盟支持

 パレスチナは正式な国家という地位を求めて様々な手段を講じてきた。173のユネスコ加盟国が集ってパリで行われた今回の採択では、賛成が107、反対14、棄権が52だった。

 パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は9月にもニューヨークの国連本部で演説し、パレスチナを独立国家として認め、国連加盟を支持するよう訴えた。安保理が11月に採決を行うが、アメリカはすでに拒否権発動を宣言している。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中閣僚貿易協議で「枠組み」到達とベセント氏、首脳

ワールド

トランプ氏がアジア歴訪開始、タイ・カンボジア和平調

ワールド

中国で「台湾光復」記念式典、共産党幹部が統一訴え

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水の支配」の日本で起こっていること
  • 4
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 5
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 6
    1700年続く発酵の知恵...秋バテに効く「あの飲み物」…
  • 7
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下にな…
  • 8
    【テイラー・スウィフト】薄着なのに...黒タンクトッ…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中