最新記事

コロンビア

道路のための「セックス・ストライキ」

道路整備という要求を自治体にのませたセックス・ストライキは、古代からある政治手法

2011年10月14日(金)15時37分
ステファニー・ガーロー

女の底力 街頭に繰り出すだけがストじゃない(写真は大学改革に抗議するコロンビアの学生デモ) John Vizcaino-Reuters

 南米コロンビアのバルバコアスで、女性たちがセックス拒否のストライキに突入したのは6月のこと。彼女たちの要求は「町に通じる道路を整備してほしい」というものだった。8月には地元当局が願いを受け入れたが、女性側は実際に工事が始まるまでストを続けると主張していた。

 その女性たちがやっと寝室に帰って来る。10月11日に軍の技師が工事を開始し、スト終結が宣言されたのだ。

 バルバコアス市長のホセ・アーヌルフォ・プレシアドは、ストがきちんと履行されたことを証明するため嘘発見器にかかってもいい、とAP通信に語った。彼と妻はストライキの間、寝室を別にしていたという。

 バルバコアスと周辺の村には、併せて4万人が暮らす。この地域からはいちばん近い町まで約55キロもあり、しかも危険な山道を行かなければならない。舗装道路が整備されれば、移動時間が少なくとも6時間は短縮されるだろう。

ギャングの抗争を止めるのにも有効?

 セックス・ストライキは何も珍しいものではない。古くはペロポネソス戦争の終結を求める女性たちが夫とのセックスを拒否するという、古代ギリシャの喜劇『女の平和』が有名だ。

 最近では政権不在が長く続いたベルギーの女性国会議員が、連立合意に達するまでセックスを控えるよう議員の配偶者に提案した。09年にはケニアの女性団体が、政治的対立を止めるために7日間のセックス・ストを呼び掛けた。

 コロンビア国内にも先例はある。97年には軍参謀総長が、右派民兵や左翼ゲリラ、麻薬密売組織のボスが和平を結ぶように、その妻たちにセックス・ストを要請。06年にはコーヒー産地としても有名なペレイラで、ギャングの妻や恋人たちが武器を手放さない男たちとのセックスを拒否したことが話題になった。

GlobalPost.com特約

ニュース速報

ビジネス

UBS、クレディ・スイス買収の損失保証巡りスイス政

ビジネス

ベトナム輸出、1─5月は前年比12.3%減 スマホ

ワールド

中国、キューバ巡るWSJ報道に不快感 「米国はハッ

ワールド

韓国、中国大使呼び出し抗議 米中対立巡る「挑発的」

MAGAZINE

特集:最新予測 米大統領選

2023年6月13日号(6/ 6発売)

トランプ、デサンティス、ペンス......名乗りを上げる共和党候補。超高齢の現職バイデンは2024年に勝てるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    ウクライナの二正面作戦でロシアは股裂き状態

  • 2

    【動画・閲覧注意】15歳の女性サーファー、サメに襲われ6針縫う大けがを負う...足には生々しい傷跡

  • 3

    新鋭艦建造も技術開発もままならず... 専門家が想定するロシア潜水艦隊のこれから【注目ニュースを動画で解説】

  • 4

    ダム決壊でクリミアが干上がる⁉️──悪魔のごとき「焦…

  • 5

    ロシア戦車がうっかり味方数人を轢く衝撃映像の意味

  • 6

    ワニ2匹の体内から人間の遺体...食われた行方不明男…

  • 7

    ロシアの「竜の歯」、ウクライナ「反転攻勢」を阻止…

  • 8

    「真のモンスター」は殺人AI人形ではなかった...ホラ…

  • 9

    【画像・閲覧注意】ワニ40匹に襲われた男、噛みちぎ…

  • 10

    性行為の欧州選手権が開催決定...ライブ配信も予定..…

  • 1

    ロシアの「竜の歯」、ウクライナ「反転攻勢」を阻止できず...チャレンジャー2戦車があっさり突破する映像を公開

  • 2

    「中で何かが動いてる」と母 耳の穴からまさかの生き物が這い出てくる瞬間

  • 3

    ウクライナの二正面作戦でロシアは股裂き状態

  • 4

    【動画・閲覧注意】15歳の女性サーファー、サメに襲…

  • 5

    米軍、日本企業にTNT火薬の調達を打診 ウクライナ向…

  • 6

    敗訴ヘンリー王子、巨額「裁判費用」の悪夢...最大20…

  • 7

    「ダライ・ラマは小児性愛者」 中国が流した「偽情報…

  • 8

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 9

    ロシア戦車がうっかり味方数人を轢く衝撃映像の意味

  • 10

    【画像・閲覧注意】ワニ40匹に襲われた男、噛みちぎ…

  • 1

    【画像・閲覧注意】ワニ40匹に襲われた男、噛みちぎられて死亡...血まみれの現場

  • 2

    カミラ妃の王冠から特大ダイヤが外されたことに、「触れてほしくない」理由とは?

  • 3

    「ぼったくり」「家族を連れていけない」わずか1年半で閉館のスター・ウォーズホテル、一体どれだけ高かったのか?

  • 4

    F-16がロシアをビビらせる2つの理由──元英空軍司令官

  • 5

    築130年の住宅に引っ越したTikToker夫婦、3つの「隠…

  • 6

    歩きやすさ重視? カンヌ映画祭出席の米人気女優、…

  • 7

    「飼い主が許せない」「撮影せずに助けるべき...」巨…

  • 8

    預け荷物からヘビ22匹と1匹の...旅客、到着先の空港…

  • 9

    キャサリン妃が戴冠式で義理の母に捧げた「ささやか…

  • 10

    ロシアはウクライナを武装解除するつもりで先進兵器…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中