最新記事

アメリカ政治

「おバカで結構」米共和党綱領の呆れた中身

Let's Ban Thinking

FRBも社会保障も要らない? 州レベルの綱領が物語る共和党のヤバすぎるビジョン

2012年8月20日(月)16時43分
ポール・ベガラ(政治コンサルタント)

 誰にだって「理想の楽園」がある。私が夢見ている楽園は、無料のビールを飲みながら、カントリー界の大御所ウィリー・ネルソンの歌が聴けるコンサートだ。

 ジョン・レノンの歌のように人は私を夢想家と呼ぶかもしれないが、これは私に限った話ではない。全米各州の熱意にあふれる政治活動家たちも、綱領で地上の楽園を描いている。

 まずは愛すべきテキサス州から見てみよう。ここはアメリカで最も共和党が勢力を誇る州だ。選挙で選ばれる州当局のポストに就いている人は、1人残らず共和党員。州下院の定員150人中、101人が共和党議員だ。

 テキサス州の共和党勢は「大きな政府」による締め付けを毛嫌いしている。就学前教育の義務化にも、予防接種の義務化にも反対。「義務化」と言えば反対──いわば反「政府」勢力だ。

経済政策のお手本は1932年の綱領

 別の言い方をすれば、彼らの主張は「おバカで結構」。実際、彼らは考えること自体に反対しているのだ。「私たちは高次の思考力、批判的思考、それに類似したプログラムを教えることに反対する」──彼らは綱領でこううたっている。無知が至福なら、テキサス州の共和党の政治家は世界で最も幸せな人たちだ。

 テキサス州の共和党勢力は社会保障制度も要らないし、国連も要らないと考えている。もちろん、彼らに言わせればオバマ大統領だって要らない。

 しかし、耳を傾けるべき項目もないわけではない。彼らは、人体に個人認証用のICチップを埋め込むことは許されるべきではないと主張する。

 テキサス州政界の共和党員たちは経済問題に関して、連邦レベルの共和党綱領を長々と引用している。それも1932年の綱領だ。彼らはフーバー大統領の政策を懐かしがっているのだ。

 彼らは最低賃金制の撤廃やFRB(米連邦準備理事会)の廃止、金本位制の復活を目標に掲げている。来年には、ドルを廃止して物々交換に戻るべきだと言いだしてもおかしくない。

「天地創造は事実」と学校で教えるべき

 テキサス州だけが例外でないことを示すために、「進歩的」なミネソタ州の人々にも目を向けてみよう。

 ミネソタ州の共和党綱領もFRBの廃止をうたっている。だが特筆すべき点は、芸術活動と公営ラジオに対する資金援助の打ち切りを要求していることだ。

 彼らは憲法を強く支持している。そして生命は受胎の瞬間に始まり、中絶に関しては女性を妊娠させた男性にも女性と同等の発言権を認めるよう、憲法を改定すべきだと綱領で主張している。女性をレイプした男にも同様の発言権を認めるべきだとは、さすがに書いていないが。

 さらに彼らは、神による天地創造は事実だと学校で教え、性教育に関しては禁欲主義のみを取り上げるべきだと主張。テキサス州同様、米軍の同性愛者の受け入れを再び禁止するよう要求している。

 共和党の綱領はスティーブン・キングの小説と同じくらい面白い。ただしキングは共和党の政治家と違って、ファンタジーを立法化しようとは考えていないが。

ニュース速報

ビジネス

米共和党、税制改革法案・最終案の概要発表 法人税2

ビジネス

米主要株価3指数が最高値更新、税制改革実現への期待

ワールド

北朝鮮、対話には兵器実験の持続的中止が必要 米国務

ワールド

EU首脳、ブレグジット交渉「第2段階」入りを正式承

MAGAZINE

特集:日本を置き去りにする作らない製造業

2017-12・19号(12/12発売)

ものづくり神話の崩壊にうろたえる日本。新たな形の製造業が広がる世界

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    太陽系の外からやってきたナゾの天体、宇宙人の探査機の疑いで調査へ

  • 2

    北朝鮮の消えた政権ナンバー2は処刑されたのか?

  • 3

    中国が密かに難民キャンプ建設──北朝鮮の体制崩壊に備え

  • 4

    習近平、「南京事件」国家哀悼日に出席――演説なしに…

  • 5

    日本の敗退後、中国式「作らない製造業」が世界を制…

  • 6

    「深圳すごい、日本負けた」の嘘──中国の日本人経営…

  • 7

    金正恩の「聖地登山」はインスタ映え狙って演出か …

  • 8

    歴史的急騰が続くビットコイン 仕掛人は意外にも日…

  • 9

    推定500歳!地上で最古の脊椎動物はガリレオの時代か…

  • 10

    北の核実験で広がる「幽霊病」と苛酷な仕打ち

  • 1

    金正恩を倒すための「斬首部隊」に自爆ドローンを装備

  • 2

    太陽系の外からやってきたナゾの天体、宇宙人の探査機の疑いで調査へ

  • 3

    推定500歳!地上で最古の脊椎動物はガリレオの時代から生きてきた

  • 4

    EVとAIで人気のテスラ ささやかれる「自動車製造を…

  • 5

    中国が密かに難民キャンプ建設──北朝鮮の体制崩壊に…

  • 6

    高いIQは心理・生理学的に危険――米研究

  • 7

    北の核実験で広がる「幽霊病」と苛酷な仕打ち

  • 8

    北朝鮮の消えた政権ナンバー2は処刑されたのか?

  • 9

    「深圳すごい、日本負けた」の嘘──中国の日本人経営…

  • 10

    キャノーラ油で認知症が悪化する──米研究

  • 1

    北朝鮮「亡命兵士」の腸が寄生虫だらけになった理由

  • 2

    北朝鮮「兵士亡命」が戦争の引き金を引く可能性

  • 3

    北朝鮮「亡命兵士」の命を脅かす寄生虫の恐怖

  • 4

    金正恩を倒すための「斬首部隊」に自爆ドローンを装備

  • 5

    米朝戦争になったら勝つのはどっち?

  • 6

    「ICBM発射映像に炎に包まれる兵士」金正恩が目撃し…

  • 7

    太陽系の外からやってきたナゾの天体、宇宙人の探査…

  • 8

    「英王室はそれでも黒人プリンセスを認めない」

  • 9

    推定500歳!地上で最古の脊椎動物はガリレオの時代か…

  • 10

    北朝鮮外務省が声明「戦争勃発は不可避、問題はいつ…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

胎内のような、安心感のなかでイマジネーションを膨らませる。
日本再発見 シーズン2
ニューズウィーク日本版デザイナー募集
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 特別編集

最新版 アルツハイマー入門

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2017年12月
  • 2017年11月
  • 2017年10月
  • 2017年9月
  • 2017年8月
  • 2017年7月